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脇指

脇指

出羽大掾藤原国路

商品番号 :C-016-093

江戸初期 山城 特別保存刀剣 白鞘(探山鞘書)

1,250,000円

刃長:54.0 cm 反り:1.30 cm 重ね:0.74 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔二つ。鑢目は筋違。鎺元から指表に5寸弱の棒樋に中に素剣、指裏は約5寸の棒樋を丸留めに彫る。
地肌
ザングリとした板目に小板目肌交じり流れ心、鎬地と刃寄りは柾目風に流れる。
刃文
焼幅広く小沸出来。匂口深く、箱風の乱に腰の開いた五の目乱が交じる。刃沸が厚く広くつき、足、葉がよく入り、地金に沿って金筋、砂流が頻りに所作する。指表側は激しく乱れ大乱風となり、指裏は物打辺から弯風となる。
鋩子
弯れて小丸に返る。先は掃きかけて返は浅目。
備考
金筋、砂流、葉・・・バラエティーに富んだかなり激しい所作が焼出から切先まで繰り広げられる光景は、見応え十分。変化に富んだ刃文が好きな愛刀家の方にとっては、気になるというより直接確かめたくなる一振です。特に柾目心の地肌に沿った金筋、砂流はいたる所に表れ、それに纏わり付くように広く所作する刃沸は、部分的にハケで書いたかのような帯状の拡がりを見せます。そんな激しい刃文の所作ですが、表裏同じではなく至って自然に展開するあたりは、この時期の刀工の作とは少し異なるでしょうか? いえ、まだまだ戦国の世を引きずる時代です。見せる刀ではなく、実戦で使える刀を作っていたのですから、おのずと野心溢れる刃となるのは必然でしょう。刃文だけを見れば、親国貞が激しい所作を焼いたような感じです(ちょっと喩えが誤解を生みますか? 地肌はまるっきり異なりますので・・・)。探山氏も鞘書に長銘でその所作を褒めたたえていますが、激しい刃文は体配とのギャップさえ感じられます。姿は元先に差があり反は深目の中切先、寛永頃のやさしい姿そのまま。焼幅はかなり広く鎬筋までかかり、重ねも厚目の体配で、手に取ると意外とガッシリしています。
国路は国広の門中でも技倆に優れた刀工として知られていますが、本作のような刃文を目のあたりにすればその評価に頷くしかありません。本阿弥光遜も「刀の掟と特徴」で述べていますが、出来の良いものは相州上位のものに化けてしまったのが多いだろうと書いています。確かにそうかもしれませんね。本刀は脇指故にその災いから免れたのかもしれません。

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