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短刀・槍・その他

短刀

備州長舩法光作 永正十三年二月日

商品番号 : D-021-S-267

室町後期 備前 特別保存刀剣 白鞘(本阿弥日洲鞘書)

1,700,000円

刃長:21.0 cm 反:なし 重ね:0.75 cm 元幅:1.85 cm 先幅:1.18 cm 重さ:125 g 目釘孔:1つ

体配
平造、庵棟、生中心、鑢目は勝手下。
地肌
板目肌に杢目交じり、総体に杢目が立ちその肌目に沿って地景が現れる。
刃文
刀身の刃寄りと棟寄りに約三分の二以上が焼となった匂本位の皆焼になる。匂口はやや締り心にふっくらとし、ほつれ気味に肌目に沿って流れる。
鋩子
乱刃の先が尖り気味に小丸となり、そのまま返って皆焼を形作る。
備州長舩法光作 永正十三年二月日

年紀からわかる通り、永正備前の短刀を一振。細身でスラッと何とも惹かれる姿、それでいて厚みのある重、いわゆる鎧通です。時代からみてそれなりに痩せているのかと思えば、内反を見事に裏切って反が確認できるぐらい先が残っています。勝手下の鑢目と銘もきちっと残り、末備前とはいえ健全度はかなり良い状態です。その刀姿に焼かれた刃文は、皆焼です。有るといえばある、無いといえばない皆焼が焼かれた末備前の短刀、ちょっと希少です。
皆焼の作は流派・時代問わず好まれる方が多いとは思いますが、皆焼だからと言って無条件に褒めるわけにはいきません。では、本短刀はというと、刃文の形状が脈絡なくぐちゃぐちゃではありあせん(あ、失礼、複雑で形容しがたい形状ではありません)。皆焼はちょっと・・・という方にも理解いただける、ある意味、統制のとれた皆焼と言えるかもしれません。ちょっと激しい五の目乱が鎺元の刃寄りから切先からぐるっと廻って鎺元の棟寄りに一周して返ってきます。その途中途中の五の目の頭がくっついて、平地が途切れ途切れに離され、あたかも島が連なるような形状に・・・見方によってはちぎれた入道雲が横一線に並んだかのような・・・匂口をみる目線で眺めると、匂口がほつれた所作に隙間を埋めるように小沸が拡がって、凍てつくガラスに張る霜のような光景が展開します。(夏・冬バージョンの例えを混在させてはいけませんね。それこそ脈絡のないごちゃ混ぜ刃文だと思われてしまいます・・・反省!)

この統制された皆焼、いいですねー、見事です。見所はもう一つ、地肌です。板目に杢目というより、杢目が主体で板目が絡むような感じで、それが立って綺麗な地景となって目に映ります。決して肌立つ感じではありませんが、冴えた地景とでもいうのでしょうか、肌物といっても良いぐらいの景色が広がります。小さな領域に、統制のとれた複雑な文様を感じさせる刃文と地肌が融合しているあたりが本短刀の魅力になっていると思います。
作者は法光。この出来を前に、与三左衛門尉も唸る姿が浮かぶようです。仮に与三左衛門尉が本短刀を作ったのであれば、匂崩が伴って少し違った匂口になるでしょうね(想像ですから何とでも言えます)。それはそれで見てみたい気がしますが、皆焼ですから予想は困難・・・言い忘れました、本短刀の匂口は匂本位です。多少、小沸出来に見えなくもありませんが、相州伝の皆焼とはちょっと趣が異なります。匂本位でこの皆焼・・・だからスッキリと綺麗に見えるのかもしれません。改めて、法光の上手さを実感させられる一振です。

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