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INTELLIGENCE

♮ 学問不在の刀剣社会

Copywritting by Nobuo Nakahara

 

世上、学問の進歩という文言はよく使われます。我、刀剣社会でも、同義の文言がよく使われて閉口することがあります。

もっとも、我々の社会で『学問』という概念が果たして通用するのでしょうか。つまり、刀剣学なる文言が立派に成立するかという事です。

 

例えば、刀を日刀保の審査に提出したとしましょう。合格すれば何事も起こらないのですが、不合格となれば、誰だって文句の一つを言いに日刀保へ行くでしょう。すると、対応した学芸員は判子で押したような言葉で、「以前なら、この刀は◎としたのでしょうが、現在では×としか、・・・」と回答。それを聞いた提出者は、「どうしてその様に言い切れるのか、・・・」と喰ってかかる。すると、学芸員は、「学問は日々進歩していますので、・・・」

こうなれば、認定権は日刀保にあるので文句は絶対に通らないし、通しません。では、日々進歩しているから、過去に認定又は不合格にした物件は、常時検討していないと理屈は通りません。

例えば、「今から三年前に重刀(重要刀剣)に指定した物件ですが、刀剣学が日々進歩しましたので、現在×と判明しましたので取り消します。」この様な事例は一度たりともないのです。保存・特別保存・特別重要刀剣にしても、そのような内容を聞いた事がありません。

それ程、日々刻々と進歩しているなら、過去の事例にも目を向けて対処するべきが本来です。それを実行しないで、愛刀家から新規に提出されてきた刀のみに「日々進歩」という捨ゼリフを吐くのです。

 

数年前に日刀保は、貴重刀剣・特別貴重刀剣・甲種特別貴重刀剣について効力は無いと公言しました。しかしです、その特別貴重・甲種特別貴重の認定から昇格して、重要刀剣・特別重要刀剣に指定されたものも多くあります。ならば、これ等の物件の全てを洗い直しするなら、全て理屈は通ります。しかし、その措置をしないで放りっぱなしにしたままで、保存・特別保存以外は無効としたのです。

未だに特別貴重・甲種特別貴重が付いた物件の中にも〇はあります。どうも日刀保は、現在の日刀保の鑑定能力が大いにあって、信頼されていると大きな誤解をしつつあるようですね。

つい最近の実例ですが、日刀保の審査に提出して「偽銘」として×となった刀がありました。そこで、同じ刀を二ヶ月後に2回目の審査に提出したら、「特別保存刀剣」合格の事例を実見しているのですが・・・。二ヶ月で刀剣学が飛躍的に進歩した?・・・ということでしょうか・・・

 

もっとも、こうした傾向は今に始まった事ではありません。特定の二人ののたまう事を金科玉条としてきたのは、日刀保の創立以来のお家芸です。

この二人は、文学博士という称号を持っていますが、その「学位論文たる本」二冊を読んでみるとよく判ります。肝心な点は必ず「今後の研究を待つ・・・」として本質に触れていないのです。では、学位を授与されて何十年も経つのに、結論は出したのかというと、その点には、全く触れてもいません。

このような学位を持つ者が牛耳って来た日刀保というと、非難があるでしょうが、事実は事実。こんな二人よりも、はるかに鑑識力の落ちる学芸員に至っては、何をやいわんやでしょう。それならこの二人の方が、まだマシかな?!・・・。

私にいわせれば、牛耳られた人達にも罪があります。もっとも、一番タチの悪い人種がいます。まさに、牛耳られた格好をして、愛好家を手玉にとって法外に儲けた人種です。

こんな低次元社会に「学問」なるものが存在するでしょうか。こんな事態から少しでも抜け出し、建直すように、残された我々は努力しなければいけないと痛感します。
(文責・中原信夫)

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