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INTELLIGENCE

♮ まるで刀剣版"永仁の壷"

Copywritting by Nobuo Nakahara

 

この上古刀(5本)の件に関して追加しておくと、確かに持主が科学鑑定をしても良いといったのだから、文化庁はやるべきだった。しかし、科学鑑定をやってクロと出たら、文化庁の面子は全くない。この指定に携わった役人は飛ばされる。なら、自分達は傷付きたくないので、担当の広井雄一氏を閑職に飛ばして、2〜3年して本庁(文化庁)に戻した後に退職の花道を作り、それで幕引きを図った。いつもの役人のやり方。

問題の本質は、上古刀とされる製作年代である。しかし、それは全く蚊帳の外。つまり例えるなら、"上古刀"が"永仁の壷"なら、広井氏は小山富士夫氏と同じ立場。一面から見れば小山氏・広井氏はドンキ・ホーテであるが、私は、文化庁は裸の王様に見えてしょうがない。

私は、広井氏に個人的感情も何もないことをお断りしておく。しかし、この上古刀事件以来、刀の国指定は現在に至るも無い。やはり、刀社会に与えた影響は大きいとされても致しかたないと思う。

 

もうひとつ、この上古刀の件に関して私の知る限りのことを書くと、これは平成元年に起こっている。未確認ではあるが、その5本のうち、1本は重要刀剣に指定されていた物という。さらに、5本のうちいずれか知らないが、本間順治氏、佐藤貫一氏の鞘書が各々1本づつあったと聞いている。

この5本が重文指定を受けた時の所有者は、福島県会津若松市の開業医Y氏。Y氏に売り込んだのが、同市内の骨董店K氏であるとされ、刀剣商も一枚噛んでいると聞く。

元来、この上古刀を世に出したのは広島の横田卓二氏であるが、この横田氏は刀剣界の権威者とされる人にベッタリの札付の素人面した大ブローカー。因みに、愛刀家で2代続いたY氏と父君。この両氏は、広井雄一氏の父(鞘師)をかなり支援したとされる全くの善意の愛刀家。これであらかたの人間関係が見えてくる。再度、断っておくが、Y氏親子は全くの善意そのもの、2代続いた愛刀家である。広井雄一氏は長年、年1回日刀保会津若松支部(Y氏が支部長である)の研究会に行っているという関係。

 

さて、この上古刀事件の根底にある、殆ど見えてこないひとつの流がある。それは、平成元年当時に存命していた一人の権威者とされる人の統率力が急激に衰えたことにある。文化庁は昔から刀や刀職の人間国宝の指定などでの物件や人選には、この人に相談し丸投げをしていた。いわゆる"もちつもたれつ"の関係。もっとも、この権威者とされる人も文部省の元役人であった。

こんなお茶を濁す程度で国家予算を費い、責任をとらない役人。私達は政治家と役人(事務次官)を選挙で選ぶべきであると思うが、如何であろうか。
(文責・中原信夫)

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