先日、ある研究会に出席していた時、某氏から「“清麿一派”という言葉がありますが、兄の真雄は清麿一派に入るのでしょうか・・・」という？が呈示された。これには少し参ってしまった。

　つまり、正確に言うと“山浦一派”なら兄の真雄、弟の清麿やその門人達も入るのである。しかし、正確な区分でいくと“清麿一派”は信秀、清人、正雄などであり、信連や清重、正直も同様であろう。

 

　清麿は正確には兄・真雄の教を受けているからであって、兄の他に別の刀工の指導を受けた事はないとされているからである。そうした意味からは、我々が簡単に“清麿一派”と言っているのは、果して正確なのかという事になり、そうした点からは“山浦一派”は真雄系と清麿系の二つに大別していくべきが本当であろう。かなり以前に出た本では『山浦一門』という文字が使われているから、こちらが正確かつ正当な表現とするべきであろう。

　因みに、真雄は寿昌、正雄などと度々名前を変えているので、清麿の弟子の鈴木正雄と感違いをされる時もあり、その度毎に“その正雄は清麿の兄ではなく、鈴木正雄です・・・”などと付け加える時もある。

 

　それにしても、謹直な兄・真雄はどうしてあんなに度々改名しているのか、本当に不思議。弟は兄に較べて性質と生活は少々いいかげんなのに正行から清麿へ一度しか改名していない。何となく不思議である。

　したがって、これからは山浦一門の真雄系と清麿系とすることにしていきたい。
（文責・中原信夫）