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INTELLIGENCE

♮ 一振の追憶 その46(正繁)

Copywritting by Nobuo Nakahara

 

脇指  銘
正繁(金象嵌)

刃長/一尺二寸八分強、反/二分強、本造、行の棟、中心は生で孔は一つ。
 
 
[地肌]
小板目肌がつんで、所々板目肌が交じる。
[刃文]
小沸出来の五の目乱で、五の目乱が三個一団となり、横手下は二個の五の目乱となり表裏揃う。
刃縁は締り心となって冴える。元に焼出状がある。
[鋩子]
直状となって沸匂がフックラとして、先は小丸で掃掛、返は深く樋先の下迄。

本刀は生中心・無銘の脇指で、化粧鑢、中心仕立を含め全て手柄山正繁である。そして正繁の金象嵌があるが、この金象嵌は良い状態の細工である。おそらく何らかの事情で正繁の鍛冶場に放置、刻銘される事なく、そのままであったのを後世になって、鞘書の通りの伝来となったと考えられる。

本刀は押型・写真ともにご覧になって珍しいものであります。
(押型作者・久津間俊平氏)
(平成二十九年九月 文責・中原信夫)

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