INTELLIGENCE
♯ 登録証・その1〜大ザル法
Copywritting by Nobuo Nakahara
登録証について少し書かせていただく。
基本的に刀についている登録証は“対物”であり、逆に、猟銃は“対人”であって、大きな相違がある。また、登録証を“許可証”と見る人がいるが、所持許可証(所持許可証も対物)は登録証制度が施行される前、終戦直後の時期に苦肉の策として行われていた駆け込寺的な非常緊急措置である。
終戦直後の昭和21年10月に進駐軍から初めて日本側に刀の審査権が全面的に委されたが、それから後に今の登録証制度として出発したのである。
しかし、この登録証制度は“大ザル法”の典型であって、刀を毛嫌いするヤンキー兵の目を誤摩化すだけのものであって、元々、何の根拠もない言訳でしか過ぎないのだから、GHQが去って日本が再出発した後に敢然として破棄すべきであったのを、当時の当路者が逆に目をつぶって撤廃しなかったために、今日の立派?な登録証制度が存続されている。
そうしている間に、文科省と警察庁の間にはさまった登録証はますます変質している。両御役所が登録証誕生の本当の経緯と真実を知らない全くの素人であるためにツケが民間に押し付けられ、新たな文化財(美術品)としての出現まで阻害し、逆に違法な刀に証明を与えるかの逆転現象まで引き起こしているケースもある。文化、文明、美術品を全く理解する事のできない官僚や役人によって、都合良く利用されているだけで、私達の社会には全く迷惑である。
以前、いわゆる「土光臨調」によって廃止方向になっていたやに聞くが、当時の政治家によって潰されたと聞く。何といっても制度が発足して後に破棄しなかった当事者の一人の役人が終戦後苦労して刀を救ったとか、キャドウェル憲兵司令官を恩人とか、身勝手な神話を作り上げた。それが今もまかり通っている。
さて、この登録証制度は銃刀法と同じく「大ザル法」であるから、一般的にはどのようにもくぐり抜けられると思っている人達がいるが、真実は“大ザル法であるから、どうにでも引っ掛けられる法律”であると考えるべきである。
つまり、文科省は一応、美術品と見なしているが、警察庁は進駐軍の考えを美事?に引きついで凶器と見なしているのは明白である。
因みに、戦前の日本に登録証はないのであって、それで一般社会も刀剣界も何らの過失も問題もなかった。どうしてそれに気付かないのか。見事なまでにヤンキー達に手なずけられてしまったのが悲しいと思うのは私だけであろうか・・・。
(文責 中原信夫)