INTELLIGENCE
♯ 資金源
Copywritting by Nobuo Nakahara
日刀保はおそらく審査をやめることはないはず、というよりも審査をやめれば運営資金がなくなってしまう。かといって刀剣博物館の維持にさえ費用はかさみ、勿論、刀剣博物館の入場料では学芸員の給料のみならず、光熱費、維持費さえもまかなえないであろう。では、運営資金を稼ぐにはどうしたら良いのか。
手っ取り早く稼げるのは審査であろう。しかし、この審査も永続的に受審物件が出てくる事はなく、いづれなくなる事は明白。または、数が激減する事は必至。加えて、機関誌『刀剣美術』の発行さえ果して全う出来るかどうか。現在の会費でおそらく余り黒字にはなっていないはずで、むしろ赤字額を少しでも押さえるのが実状となっていくであろう。まして、協力団体に還付金と称して年会費の二割を給付していたら、余計である。
つまり、運営資金は審査収入しかないのである。したがって、前々回に書いた様に、保存、特別保存を無効として、新しい名称を考え、審査の続行を考えるしかない。このままでいくと、さもなくとも? または×の特保あたりを一層増加させ、最後は愛好家から相手にされなくなる。さらに重刀、特重も同様に扱うかもしれないのである。歴史は繰り返す・・・。
もっと根本的な刀剣界の建直しを日刀保は主導すべきである。そのためには、愛好家も、刀剣商も、もっと頭を冷やして実情を見つめ、如何に建直すかを考えるべきである。年会費12000円が高いと考える会員が如何に多いか。内容はともかく十二冊の機関誌を受取りながら、高い!!・・・とは?・・・。
ここまで精神的に低下した最大の原因は何か。これは本欄にも既述したので重複は避けるが、実は刀剣界全体の精神的な次元の低さが一番の原因であって、他人のフンドシで鑑賞会、研究会をほとんどタダでやれた。その資金のほとんどが丸特審査を主催した地方支部に入った受付料の半額がその支部の資金源・財源の正体である。しかも、現在の日刀保は、今までやっていた支部経由の審査物件の還付金まで打切ってしまった。これでは協力団体もたまらないが、要はこれらにしても他人のフンドシである。それに加えて、高齢化による会員の減少。
「昔のソ連は良かった。何もしなくともお金はくれたのに、今のロシアでは・・・」と嘆くロシア人と全く同じ低次元極まる発想である。
(文責 中原信夫)