INTELLIGENCE
♯ 明治維新は最後の下剋上
Copywritting by Nobuo Nakahara
昨今は、一部のマスコミ等により、戦前の日本のあり方が執拗に批判されているが、さて戦前と戦後との違いは何かといえば、戦後は米国のおかげ?で民主主義なる制度が入り、民主化され平等になった等々と云われるが、では戦前は民主主義ではなかったのかという事である。そもそも民主主義なる言葉は全くの大虚言であって、実体は多数決主義そのものであり、敢えて本音を云うなら衆愚状態となる。
江戸時代は差別社会で真っ暗な社会であったと学校で教えられてきたが、そんな江戸時代に文化・文明・美術品はなかったのかという事を私は政治家や官僚、国民に問い直したい。その差別のある暗い社会の江戸時代を明治維新によって直したとされるが、明治以降に江戸時代以前の美術品を凌駕する美術品は数多くあるのか、と問い直したいし、今迄の評価は果たして正しいのか。
私は明治維新は日本歴史上の最後の下剋上であると思っている。何故なら明治維新を成し遂げた人物達の殆どは、江戸時代は失礼かつ残念ではあるが、一番の最下層の武士と公家達であって、そんな人達が自国の秀れた美術品などに全く理解も興味も示さなかったのは当然である。
江戸時代を前近代的な時代で、見るべき価値のない時代とみなし、全て西洋の方が思想・制度ともに秀れていると思い込み、自国の秀れた技術・感覚に裏付けされた美術品に目を向ける事もなく、結果的に廃仏毀釈による自国文化の破壊へと突き進んでしまった。そんな明治維新が素晴らしいと云えるであろうか。その明治維新による精神的な歪のツケを払ったのが太平洋戦争である。そして、戦後はGHQのおかげで思想的アナーキー状態となってしまった。
大体、二百年位の米国に見るべき文化・文明があるのだろうか。ヨーロッパの嫌われ者が、先住民を強引に追い出して作った大国である。だから武装して我が身だけを守らなければならない思想となったのを、明治以後の殊に戦後の日本人は良いものと思い込んだ。つまり、その国の文化文明度の高さは、その国の昔からの美術品をみればおよそ正確な判断は出来る。
こうした条件にあてはまる国は欧州を含めて世界中に果たしていくつあるだろうか。しかし、江戸時代迄の日本には有る。これを皆様に是非共理解して頂きたい。しかも、その日本文化は単一民族によって築かれたものであって、大陸から来た単なるコピーではない。単なるコピーなら大陸そのものの中国に現在でも立派に生きている!
今、少しでも文科省の役人に考え直してもらいたいが、文科省の役所玄関に掲げられたあの「文化庁」の看板文字の下手さの醜態(下手の程度を通り越している)は今だに改められていないであろう。皆さんインターネットで文科省のHPをみて確認してみてください。我家には、それを見る設備と意思はないので・・・。
(文責・中原信夫)