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INTELLIGENCE

♯ 日刀保改善の数少ないチャンス

Copywritting by Nobuo Nakahara

 

刀剣界というと、いつも(公財)日刀保が引き合に出されてくる。これは致し方のない事であって、日刀保の動向に日本の刀剣界は左右されてきた。他の団体といえば、日本刀剣保存会が明治末年頃の設立であり、他に春霞刀剣会がある。この2つの団体ともに季刊誌を発行しておられるが、なかなかその発行部数は伸びず、経済的にも苦行されているかと存じます。

 

先年、この日本刀剣保存会100周年行事で、私は刀剣団体として3つの主な事業があると話した。それは、機関誌発行と研究会の開催、そして審査である。この3本柱の1つでもなくなれば、会そのものの存立は難しいという、主旨を述べたのであるが、果たしてどの程度の認知を得たかは・・・。

ただし、この3つの柱(事業)ともに、難しいものとなる事は明白であるから、団体の中心者は相当の鑑識力と覚悟で事にあたらなければならない。

ただ、日刀保はというと、他の2団体にはないものを1つ持っている。刀剣博物館という存在である。これは、特色の1つだが、“金喰い虫”である。いくら刀剣女子が増えても、その入館料で館は維持できない。つまり、収入源が乏しいという事になり、機関誌収入もないなら、残るは審査収入となる。

では、かなり以前(約30年程前)私が主張した、刀剣博物館の日刀保からの分離と言う事ができれば、少し日刀保本体の経済状況も改善する。もっとも、「本当に日刀保にお金はないのか、そんな事はないだろう?!」とういう見方もあるが…。

 

更に、審査にしても必ず頭打ちになるし、加えて審査の品質?も低下をきたす。そうなれば名称を変えて、再審査という方向しかないだろう。なぜなら、これと全く同じ事を40年以上も前に(財)日刀保はやっているからである。

これでは全くの堂々巡りである。会費で日刀保(含刀剣博物館)を維持できないのか。年間12000円では絶対に無理であろう。こうした点を刀剣界は頭を冷やして、考え直さなければならないのは明白である。もうすぐ新しい場所で(公財)日刀保は出発するが、今からが全ての改革のチャンスである。
(文責・中原信夫)

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