INTELLIGENCE
♯ デザインを理解出来ない御役人
Copywritting by Nobuo Nakahara
最近(平成27年夏頃)は、東京オリンピックのエンブレムのデザインが盗用と騒がれて、海外から訴訟を起こされているが、先日、このエンブレムの原案なるものが記者会見で呈示された。そして、この原案がデザインとして似ている実例がある、との指摘が組織委員会で出され、原案の作者自ら2回も修正を加えた。その結果がまたしても盗用との指摘を受けた。どうも、このデザインをやった人は何を考えていたのか。私にはわからない。つまり、自分の考えぬいた揚句のデザイン(原案のもの)だから、変更の余地は絶対にない筈。
仮に、変更を2回も自ら加えたのなら原案はどうにでもなる、全くいい加減なデザインであったと自ら認めたのと同じ。そんないい加減な原案に安易な変更を加えた、いわば増築違反建築にOKを出した組織委員の連中の才能のなさとバカさ加減は目に余る。最初からこの原案作製人の作を採用(内容はどうでもいい)するつもりであったと考える以外にはない。しかも、この原案はプロの作った、考えぬいた変更の余地の全くないようなデザインではなく、素人の域を出ない、まったくダサイものである。製作者の能力と常識を疑わせる代物。ちなみに、デザイン料はいくら払ったのか、それも公表するべきであろう。
今日、テレビでこのエンブレムは廃棄して新しく作り直すという。誠に結構なことではあるが、ついでにオリンピックもやめて、そこに使う予定のお金を大震災復興などに廻すべきと思うが、いかがであろうか。
とかく、御役人と時差ぼけ政治家が携わる事業で上手くいったことはない。私見ながら、かくも優秀な日本民族でありながら、日本の御役人で自国の文化、美術品をまったく理解できない、しようとしないのも不思議。それでいて官は民を見下す態度が明らか。
それにしても、現代人は室町時代から江戸最初期の造形や彩色を超えられないとは、本当に情けない・・・。
(文責・中原信夫)