INTELLIGENCE
♯ せめてジャケットにネクタイぐらいは・・・
Copywritting by Nobuo Nakahara
この原稿を書いているのは平成27年10月中旬であるが、数日前にラクビーワールドカップに出場した日本チームが羽田空港に帰ってきた。そのニュース映像をみて、本当に爽やかであった。なぜか、それには理由がある。だたし、奇跡の勝利を勝ち取ったからではない。
空港出口に現れた監督始め、選手全員がスーツ姿であった。スポーツ選手、ことに最近流行の分野では日本代表で外国に行くときの服装が全くなっていないのがある。因みに詐欺をする人間だってスーツを着ているケースもあるから。スーツが何が何でも良いというわけではないが・・・。
スポーツにしろ、どんな分野にでも個性はあってよい。しかし、自分勝手な個性のみを突出させ、その分野の品位を貶めるがごとき服装が、果たしてよいのか。何でもかんでも身にくっつけて、それが私の個性だと思っている人間が多くなってきつつある。制服に個性がないから嫌です等という子供までいるから、全く、無秩序・没個性もいいところである。制服をちゃんと着こなせる人は一番素晴しい。何の調和(色彩・デザイン)等も伴わない制服はダサイが、何の考えもない唯のトッピングは個性ではなく没個性の典型でアンバランスそのもの。公的な場所ではなくプライベートなところでも、一流とされる分野の人は大いに気をつけるべきであろう。
さて、刀剣会に来る人の服装であるが、真夏にスーツにネクタイをしろとは言わないが、せめてそうした服装をつけている品位を伴った服にしていただきたい。勿論、講師も同様。羽織袴までとはいわないが、せめてジャケット(ブレザー)にネクタイはしてこなければ・・・。
以前、ある日刀保支部長(関東近県)が私に「派遣講師(学芸員)がネクタイもしないで、オープンシャツで来るのだから・・・」とこぼされた。講師が正装するのは、単なるコケ脅かしでもない。参会者に見せるのでもない。持参する刀と、刀を貸していただいた方へに対する感謝の念からでもあるし、刀社会の品位を保つためでもある。講師は講話の内容に十二分の責任と秀抜さを持つ事が、服装の品位と同時に求められている。とすると、私は果たして及第点?
(文責・中原信夫)