INTELLIGENCE
♯ 刀剣は切先を上にして刀袋へ
Copywritting by Nobuo Nakahara
前回、空港での刀の手続について書いたので、今回はそれに少し関連がある事を・・・。 今は爆買しても荷物の料金はとられない事があるが、今から40年程前迄は地方空港へ行く時は制限があり、村上先生はよく超過料金を払っておられた。あの当時は“YS11”であったので、そのようになったのであるが、私が随行すると二人分となり、超過料金は殆んど取られなかった。今となっては、懐かしい思い出である。
さて、今回、札幌へ行く時に、私の刀袋の総重量は約11キロであった。帰りは約10キロ弱となったが、これは一振の大脇指を札幌でお返ししたためであった。
全部で七振が帰途の本数であって、短刀一振、脇指一振と刀が五振であった。普通の一般の方は11キロといっても別に特に「重く」はないと思われるかと存じますが、刀は単なる荷物やバックではないから、床に投げ出す事は絶対にしない。そーっと取り扱うのであるから、肩には相当にこたえる。
しかも、私は刀の中心を下にして、切先を上に、つまり、一般の入れ方と反対に刀袋に入れるから、重心が下へさがり、余計に重く感じるが、これも切先を痛めないための万全の方法として、40年以上も励行している習慣である。
是非とも、同じやり方で刀袋へ入れてほしいと思います。切先が下に向いていれば、目釘が折れて刀身が白鞘を突破り、地面などに・・・となったら、それこそ破壊行為である。
私が刀袋を担ぐ時は右肩であるが、ある時、季節の衣替で背広やブレザーの右腰上あたりを見ると、生地が薄くなって、まさに“オボロ月夜”の如くなっていた。暫く、?と考えていて思い当たったが、これは刀袋が私の背中の右腰あたりで接していて、それでこすれてこの様に生地が破れる寸前になってしまったのだと。其後、注意してみると着用の背広やブレザー、はてはズボンの右腰のベルト下のあたりにも同じ所作があった。名誉の勲章?。
(文責・中原信夫)