INTELLIGENCE
♯ 刀剣破壊者は野放状態
Copywritting by Nobuo Nakahara
昔はといっても戦後しばらくはではありますが、刀工志望者は師匠に保証をしてもらえば、独立して刀工と正式に認められた。今は有り難い免許制になって、文化庁の御墨付の上手な刀工の何人かの試験官の前で実技をしてから合格を貰わないと刀工免許をくれない。当然、御役所の文化庁の許可ということになる。
こうした免許制度には多くの欠陥があるが文化庁の刀の全くわからない御役人はそれでいい、それがベスト、そうでなければと思い込んでいる。思い込まされているのだから致し方ない。
では、同じ刀職の研師はどうか。文化庁の免許制度で合格なんて話はないし、現に全く対象外の職域である。しかし、よく考えてみれば、下手な刀工が刀を作っても、既存の刀に全く影響はない。これに反して研師が刀を研ぐのはいいが無茶苦茶の研をして、刀を減らし、形を変形させたら、これは刀社会にとって甚大なマイナスであり、文化財・美術品の破壊である。現にこのような事がおこっているのである。
実例としては、地方で研屋看板を揚げたら、一般人は高技𠈓の研師と思い錆身を持込む。研屋は砥石で形を整えないでグラインダーで錆を取り、形など全くお構いなし、芯鉄が出ようが刀身が光れば良くなった。こんな研屋もいまだにいる。これは破壊以外の何者でもない。いくら忠告しても全くお構いなしで、錆がなくなってキレイになった。お客も喜んだのに何がいけないのと、開き直る始末。どうにもならないのである。逆に都会で営業して、砥石で刀を研がないで、最も避けるべき強い酸等の液を使って、テンとして恥じない研屋もいる。これらに是非、文化庁はメスを入れ、ついでに研師も免許制にしてはと思うが如何であろうか。もっとも、また文化庁は丸投をやってしまうから同じか?・・・。
因みに、新米刀工は既存の刀を毀しはしないが、前述の如き、研屋は刀を破壊することは甚だしい。皆さんも是非ご一考願いたい。
(文責・中原信夫)