INTELLIGENCE
♯ 奇妙な色合の中心
Copywritting by Nobuo Nakahara
最近、刀関係以外の方から、刀の本(平成26年刊)をいただいた。その本は定価五万円であったので手が出ず、他所で一度だけチラチラと眺めたが、大枚をはたいてまで・・・という事で、その後、その本の存在をも忘れ去っていた。
この本は銀座周辺の刀剣店の編集・出版したオールカラー写真版で、監修は元・日刀保学芸員であり、現・日刀保会長や某美術館々長も序文を寄せている。ただ、解説文は編集者か監修者かよくわからないが・・・。
資金力も豊富?な刀剣店と云われているだけに、金のかけ方が全く違って、無駄な所に大金をかけ、肝心な所に金をおかけになっていないようで、前記二人の序文も何となく空しく、この二人、本当に刀がわかっているのかと真剣に考えさせられる。
本音を言えば二人共刀はわかっていないと以前からわかっているが、肩書だけの名前ならそれならそれでもっと書き方があるだろう。もっとも、この御二人共、刀は本当に好きなのか?という事を心配?している。
さて、本の写真版であるが、御二人の讃辞も空しく“奇妙な色合”の中心にしか見えないものが多い。また、ヤスリ目や銘字が見えないものも多く、これで日本刀の啓発と研究の向上に役に立つのかと思うが如何。もっとも、刀の品質が悪いのかもしれず、あまり正確には写せない?のかも・・・。
私はこの本にケチをつけるのではなく、もっと押型を駆使するべきであって、写真印刷には一定の限界があり、この程度の写真技術でオールカラーとは、金の無駄使いである。それなら、刀の売価を下げてやった方が御客さんも喜ぶと思うが。
カラー写真というのは刀身や中心の錆色の色合を正しく表現するのが至上命令であるが、どんなに技術が進んでも無理である。最大の原因は印刷のインク色に限界があるからである。どんなに上手にインクを配合しても現物の色を出すのは無理であろう。
(文責・中原信夫)