INTELLIGENCE
刀身を鞘から抜く
中心(なかご・茎)を開ける
中心を柄に戻す
刀身を鞘に納める
手入れ道具
●目釘抜(めくぎぬき)
中心を開ける際に、柄に差し込まれている目釘を抜くために使われます。真鍮や鉄・竹など素材や形状は色々です。
●打粉(うちこ)
砥石の粉を布に包んだもので、刀身に塗られていた古い油を吸着して取り除くために使われます。
他には刀を鑑賞するときに、油の膜や曇りを打粉で取り去り、刀身を明瞭な状態にする目的でも使用されます。ただし、打粉は砥石の粉ですから使用すれば刀身が磨耗するので使わない方が良いという声もあり、むやみに乱用することは避けましょう。時代劇などを観てよく誤解されがちですが、決して刀身を磨くためのものではありません。
●拭(ぬぐ)い紙
和紙(奉書)を揉んで柔らかくしたもので、刀身に塗られた油を取ったり打粉を拭うために使われます。最近では油はティッシュペーパー(染料や化学物質が無添加のもの)で代用したり、打粉を拭うのにネル(よく洗い乾燥させて使用)を使うことが多いようです。
●油
刀を保管する際、錆を防ぐために塗る油。一般的に使われているのは丁子油ですが、植物由来なので古くなれば酸化するということを念頭においてください。
●油塗紙
油を塗るときに使用する奉書や布片で、うっすらと油を滲ませたものを使用すると良いでしょう。
●当て木
中心が柄から抜けないときに使用するのが当て木(柄外し)です。柄の小口にあてがい、木槌等で優しく叩いて使用します。強く叩いたりすると柄の小口を痛めることもあるので、十分に注意してください。
手入れの仕方
保管方法
●白鞘に納めて保管する
保管に適した白鞘に納めた状態で愛蔵することをお奨めします。拵は表舞台での装いであり、鐔も装着されて形状的にも保管には不向きです。白鞘は「休め鞘」といって昔から保管するために誂えられたものです。
●保管場所
なるべく湿気のない場所、そして直射日光を避けて温度差のあまりない場所に保管するようにしてください。
●手入れの時期
通常は数ヶ月に一度ぐらいの間隔で手入れを施すのが理想です。きちんと手入れをしていれば、そうそう錆びることはありませんが、長くても半年に一度は手入れを行なってください。もし、錆が出てしまったら、研師や鞘師・刀剣商といった専門家に相談してください。決して自分で安易に錆取りを試みないことです。錆が出た原因を突き止めないと解決にはならず、却って悪化させたり余計な費用も発生してしまいます。
刀の運搬
日本刀は美術品ですから、ルールを厳守すれば家の外に持ち運ぶ事が出来ます。
▶登録証(銃砲刀剣類登録証)を必ず附帯すること。
▶白鞘または拵(こしらえ)に装着された状態で、刀袋に入れる。それを専用の運搬ケース または運搬袋(革や布)に入れて持ち運びが可能となります。これで裸の刀身を三重に包 んだことになります。
※その際、肩に担いだりして日本刀を縦にして運ぶ時は、必ず中心を下に、切先を上になる ように運搬袋に収めます。切先を下にすると、目釘が折れるなどした時、刃先が底を突き 破って落下する危険があるので、それを避けるための処置です。