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INTELLIGENCE

♮ 白手袋

Copywritting by Nobuo Nakahara

先日、地方在住の知人に小柄の認定書を見せられ、認定書に書き入れられた銘文の訓み方が間違っているのではないかとの相談を受けた。私もすぐルーペで確認したところ、明らかに訓み違って別の字が書き入れられていたので、小柄と認定書を預り、早速、日刀保へ訂正を申し入れた。勿論、対応した事務職員や学芸員はちゃんと対応してくれた。

その折、学芸員が私の持参した小柄を確認する時、白い手袋をポケットから取り出し、片手まではめた時に私は「手袋はしなくていいよ・・・」と言って、「素手で小柄を持ってください」と言った。

 

その時、学芸員は「手袋をしなくてもいいんですか?・・・」と言うので、「構いません。大体、手で触って変色したり、指紋がついたのが消えなくなるなんていう代物(しろもの)はおかしいから・・・」と話しながら、「ところで最近は刀を見る時に手袋をしていないようですね・・・」と言いながら、さらに「手袋をして刀の中心を持つから、棟角辺の錆がとれて、白く光ってしまったからね・・・」と笑いながら独り言を言った。

まさにこれを証明する様に日刀保所蔵の南紀重国などをはじめ、中心の棟角などが白く光って惨めな状態になってしまっている。

 

この最大要因は一時流行った、否、流行らした手袋使用のためであり、それをあたかも正当であるとのゴリ押を進めた日刀保の側にも大きな落度がある。今は、手袋ではなく、マスクをして刀を見る様に方針転換されたようだが、もう漫画以下である。人間の息や唾が刀について困るなら黙って刀を見ればいい。もっとも、その黙って見るのが昔からのマナーであったはず。つまり、マナーが悪く低下し過ぎている。それともウィルスでも刀についたら害があるのでしょうかね?・・・。それを認識したのか、刀のマナーを履修しなければ刀を見せないという方針も結構だが、マスク使用の目的と効果の程をどの様に教えるのか聞いてみたいが・・・。

 

昔、日刀保の全国大会では一本の刀を見るのにタイマーを使って時間を区切った。1人の人間がルールを弁えずに長時間独占したためである。刀に水分がかかって問題があるのでマスクをするのなら、呼吸をしない時間のみを区切として刀を見ればいい。それなら2分ともたない。日刀保の会長以下首脳陣に学芸員と同じ仕事をしてもらって、本当の鑑賞会・研究会の実際を体験してほしいと思うのは私だけだろうか。

因みに、マスクではウィルスは防げず、全く無力ですよ。刀に水分がかかって大事(おおごと)になるなら、一番困るのが研職人であろう。どうやって刀を研ぐのかなあ?
(文責・中原信夫)

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