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INTELLIGENCE

♯ オフレコ談義の始まりにあたって…私の理(ことわり)

Copywritting by Nobuo Nakahara

 

私は刀と小道具に囲まれて毎日過ごしているのであるが、私の育った家庭は両親が教員だった。さらに兄も同様という教員一家であって、趣味としての刀などとは全く無関係な家で育った。そんな家族から見れば、私は突然変異であろうが、今年(平成26年)で刀歴は41年目に入った。

もちろん、私自身にとっても、今私が従事している刀の社会などは、全く関知しなかった社会であり、反対に関知していたらこの社会に入ったかどうかは疑問である。とはいうものの、この社会の”水”が性に合ったらしく、40年以上にわたり、何とか無事に過ごさせて頂いたことは”幸”である。特に、肩書きなど全くない私を支援してくださった多くの人達にここで深甚なる感謝の意を表したい。

 

さて、この社会において私は一風も二風も変わった人間と思われているらしいが、私自身はごく平凡な人間としか思っていない。ただし、研究会を通して、刀の良さ、楽しさ、小道具・拵の素晴らしさ、面白さを宣伝・普及するために、時には激しく、時には皮肉を入れ、はたまた下ネタ話を交えて理解をしていただくように話す手法が、身に染み付いてしまった。当然、特定の個人を攻撃するケースもあるが、攻撃される人の主観や考え方を、またその人が存在した位置に於ける評価に対し反論するだけであって、人間そのものを批判した事はない。とはいうものの、一人だけはいるか?・・・。

とはいえ、私の主張や考え方もやがては批判される立場になる事は明白であるから、そうした運命はいさぎよく受け入れる。

 

私の尊敬する先輩で、ライバルとして見ている人が一人おられる。もちろん、その人は私の良き相談相手でもあり、支援者、理解者でもあるが、その人に私はいつも、「私は30年も40年も日蔭の道をずっと歩いてきた。でもその陽の当たらない日蔭の道も決して冷たくはないし、中々住みやすいところですよ。」と冗談を言う。すると、その人は「中原さんは、歩いてきた道を、日蔭の道で陽の当たらない道だなんて決して思ってはいけないし、嬉んで歩いて好きなように行動・主張しているよ・・・」と切り返してくれる。この意見は本当であろう。私も全く異論はないし、反論もしない。それだけ私は自分の信念の通り、正しいと思う考え方・理論を主義・主張を通して発してきた。しかし、それは私一人の力量ではなく、支援してくださった方、応援してくださった方、理解を示していただいた多くの方々の基があって成し得られた事と痛感している。

それを踏まえて、本欄では私の好き勝手?な事を書かせていただく傾向が強くなると思われるが、私にとっては、書く以上は根拠があり、私の価値観というものを基にしての主張である事を、ぜひご理解いただきたい。 因みに、本欄や刀剣杉田店の豆知識欄も、刀剣商のサイトに掲載していただいておりますが、刀剣商側とすれば、本来、私と私の職業は天敵関係といえる。しかし、前記の二店のご好意により、私のような日蔭の人間の主張を掲載していただく事は、私としては身に余る光栄で、極力、公正・公平に主張をして参りたいと思う。読者各位におかれましては、ぜひ私の真に、本当に謂わんとする点を感じとっていただき、刀、小道具、拵の愛好に役立たせていただき、楽しい趣味道に邁進してくださる事を念願する次第です。

 

本欄を初めてご覧になる方々に対し、私の紹介も含めまして一言ご挨拶とさせていただきます。
(文責 中原信夫)

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