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INTELLIGENCE

♯ 天動説が破綻する日

Copywritting by Nobuo Nakahara

 

人間は全てと言ってもよい程に、先入観念(既成概念)で思考・行動していると言っても過言ではない。

かつて天動説というのがあったが、巷間にいわれているのが正しい歴史とするなら、地動説はまさに新入観念である。刀剣界にも先(潜)入観念または既成概念という厄介なものがあって、遅々として真実に近づけないでいる。むしろ、刀剣界の権威者とされている、そして本人もそのつもりでいる人の唱えた事を、金科玉条の如く崇め奉っている人達は誠に哀れである。私がここで何を言いたいのかというと、権威者を否定することではなく、その権威者の唱えたこと、考えたこと、著述したこと、それらの考え方を刀剣愛好家一人一人が一度リセットして、別の考え方に移行してくれれば良いのである。天動説から地動説への移行。これを不思議に思う人は今や一人もいないようにである。

 

さて、戦後の刀剣界での先入(既成)観念は何を中心として出来上がったのか。もう何をか言わんやであって日刀保そのものである。日刀保が結果的に残した、残しつつある考え方はそう遠くない内に、科学的なデータに基づくもので全て批判の対象にされると考えている。勿論、この私も同様に批判にさらされる事は明白であって、日刀保が間違っていたのか、私が間違っていたのか、それとも両方ともであったのかが、やがてわかる時期がくるはずである。

しかし、科学的な検査で、全ての刀が鑑定できるのかというと、おそらく無理であろうが、かなりの部分は可能になると思う。ただし、その時期が来た時には、果して何人の既成概念症状の愛好家が残っているであろうか。因に、私自身も生存しているかどうかは保証できない。

 

私は最近になってよく次の表現を引用する。つまり、“腐っても鯛”という語句である。明らかに事実錯誤の説を信じ込んでいて、頑迷にその考え方を変えようとしないでいる人達に私が言うセリフであって、“鯛”に例えられたのは何か、日刀保である。

さらに言うならば、腐ったのが本当に鯛ならまだいいのだが・・・・。鯛モドキか雑魚ならどうするのかなぁ・・・。
(文責・中原信夫)

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