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INTELLIGENCE

♯ ピカソ

Copywritting by Nobuo Nakahara

 

つい最近であるが、ピカソの絵が200億円の価格で落札されたという報道があったが、全く馬鹿げたバブルである。ピカソにそれだけの価値があるかどうかは私は専門外であるので言及しないが、どうして200億円になったのか、またはしたのか、値を吊り上げたのか。オークション会社の手数料稼が本音であろう。

元来から、オークションというのは素人芸であって、日本では昔からあった感覚と制度形態ではない。つまり、売買される品物の本当にふさわしい時勢価格があって、それを守っていくのが本当のやり方である。当然、時代相による“好み”によって同一作家の作品も値段が変っていくのは当り前であるが。

いずれにしても、買手の名前が出ない200億円のピカソであるが、果して本当にその絵を楽しむために買ったかどうかは甚だ?である。

 

元来、美術品とされる、または美術品として取扱われる次元のジャンルも多くあって、皆同一とはいわないが、要はその美術品を所有者が楽しむためのものであって、それ以外の対象には本来ならなり難いといえる。であるからこそ、その美術品各々にふさわしい価格があるはずであって、それを大きく逸脱させる行為には、出品者とオークション会社の功利的計算の方が優先している。

 

かなり以前にも同様の話があって、日本人画家(有名・故人)が愛蔵していたとの触込の洋画があったが、私の知人がその絵の額縁が良いので欲しくて2万円足らずの値を予めつけて売却を取り仕切っていた画廊に話をつけていたし、画廊もそれでOKという。

しかし、その絵が新聞に出て某所の学芸員であったと思うが、有名な〇〇の絵と思われると新聞等に発表したおかげで、値が天文学的に吊り上がり、知人には買えない値となり、有名な収集家の美術館へ収まったという実話がある。勿論、この絵はサインがないので、刀でいうと無銘である。しかし、この絵が〇〇ではなく、誰の作か不明となれば、その絵の額縁の値段しか評価されず、最初の2万円足らずが正解となる。皆さん、どれが正しいのでしょうかね・・・。
(文責・中原信夫)

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