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INTELLIGENCE

♯ 盗難美術品

Copywritting by Nobuo Nakahara

二年程前だったかの地方新聞の報道によると、過去に公的美術館に展示されていて盗難にあった刀が世に出てきて、それを買い求めた人がいるが、現行の法律が悪く旧所有者は泣き寝入りになっているのが現状という。それなので、現所有者に返還訴訟を起こしたとの事。勿論、この旧所有者の言っている事は当然であろう。欧米においては盗難・略奪されたものは取引が禁止され、元の所有者に返還される法律があるという。

 

今から40年以上も前、都内に盗品専門の刀を扱う業者がいたとされている。盗品は法律上の時効を過ぎると、少しずつ動き始めるが、なかなか表に顔を出さない。盗品は有名な物ほど品触が出るので、時効になるまで同じ所でジッと留めておく。従って、盗品で品触が出てなくとも、それと思える品は犯人が売り込んできても徹底的に安くたたくのが常であるという。

しかし、犯人と買入側業者とは阿吽の呼吸で存立している。つまり、最悪30年程は、資本を眠らせることになり、その間の利子などが入っているから、1/10位に買い入れると聞いたことがある。しかも、刀なら刀剣商へ時効後も直接売らず、古物商など分野の違う店や、人間に出すようでもある。

つまり、時効後の足取りをつかみ難くする為で、以前、酒田市致道博物館から盗まれた内の1本が、S県内の古美術業者が持っていて、買い主を探していると聞いたことがある。これは、国の重文で今夏(平成27年)東京の刀剣博物館や他でも展示されたという。私は昨年であったか、この重文の買取を持ちかけられた方からの相談を電話で受けたことがあり、その方には買取は極力控えてくださいとお伝えした記憶がある。

 

いずれにしても、国はこうした指定品をはじめ、全ての美術品などにおいても、法整備を早急にしないといけないと考えている。国指定品の現所有者不明を堂々とマスコミに流すような意識程度では、日本の美術品の管理など夢のまた夢。今は明治の頃の輸送手段や方法とは全く違って、1日で外国へ流出するのである。それがわかっている筈であるから、1日も早い処置をするべきであろう。
(文責・中原信夫)

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