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重要刀剣

太刀

備前国住長舩祐定 永正九年二月吉日

商品番号 : A-013-122

室町後期 備前 第11回重要刀剣 白鞘入

7,700,000円

刃長:65.6 cm 反:1.7 cm 元幅:2.90 cm 先幅:1.82 cm 重ね:0.83 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は切。表に俱利伽羅、裏に摩利支天菩薩の文字を鎺元上に彫る。
地肌
小板目肌良く詰んで極めて精美な肌を見せる。
刃文
焼幅広く、匂出来で腰の開いた五の目丁子乱。匂口はやや締り心に丁子の足がふっくらと深く所作し、金筋・砂流かかり、刃縁は締って冴え、刃中に地沸が厚く付く。
鋩子
乱込んで先がやや小丸となり浅く返る。
備前国住長舩祐定 永正九年二月吉日

幅に揺らぎのある所と少ない所が交互に繰り返される五の目に、やや短めの丁子の足が所作します。その柔らかな足が刃中に深く馴染み、結構激しい砂流と長めの金筋が現れた個所も見て取れ、想像以上に賑やかな刃文となっています。一見、典型的な祐定の作に見えますが、抑揚の変化に富んだ五の目丁子乱は少し異風な感じを受けオリジナリティが強く出た景色に映ります。地肌は小板目を良く詰んで肌立った感じは少しもなく、潤いさえ感じる精美な肌合いは細身の姿と重なって女性的な印象を与えています。

備前国住長舩祐定 永正九年二月吉日

どこか祐定らしくない作風に映る本刀ですが、その要因はおそらく姿・造込にあるのかもしれません。(指定書では典型的な祐定作だと書いてあります。本サイトの感想はど素人の言葉ですので、あくまで参考程度に考えてください。)細身の姿に、元先は差があり深目の腰反、重ねは身幅に比べてかなり厚目で利刀造。何となく鎌倉期の太刀姿を思わせます。もう少し先反気味なら見間違えるかもしれません。なので古風に見えます。思いを馳せれば、鎌倉期の古刀をあえて倣ったと思いたくなります。自然に考えれば室町初期の古備前を狙ったと思えば良いのですが、何しろこの太刀姿・・・実際、本刀は太刀銘の祐定ですから希少な一振です。ちなみに重要の指定書では本作の分類を「刀」と記載しています。登録証では「太刀」。俗銘もない祐定なので、うっかり刀として見てしまったのかもしれません。
本太刀には倶利伽羅と摩利支天菩薩の文字を見事なバランスで彫ってありますが、これを後彫かどうかは意見の分かれる所。ただ焼刃の領域を見ると、ここに彫りますよと言わんばかりの刃取りに思えるのですが、いかがでしょう。当店としては彫を意識した刃取りであると見ています。・・・こうしてみれば、綺麗な地肌に叢のない見事な匂口、華を添える彫、そして太刀銘・・・俗銘のない祐定が重要刀剣に指定された要件は十分満たされているわけです。参考までに、刀剣研究・鑑定家の中原信夫氏は「彦兵衛尉祐定」であろうとのこと。皆さんの見方はいかがでしょう? ぜひご来店くださり、ご自分なりの鑑定を楽しんでください。大歓迎いたします。

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