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重要刀剣

伊賀守金道

商品番号 : A-014-230

江戸初期 山城 重要刀剣 白鞘入・拵付

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刃長:69.5 cm 反:1.4 cm 元幅:3.2 cm 先幅:2.4 cm 重ね:0.67 cm 目釘孔:3つ(1つ埋)

体配
本造、庵棟、生中心(区送り)、鑢目は勝手下。
地肌
板目肌が流れ心に杢目が交じる。よく詰んで明るく冴え、総体に肌立ち心となる。肌目に沿って地景が現れ乱移が現れる。
刃文
元の方は焼幅が狭く、小弯に腰の開いた五の目乱、中程から焼き幅が広くなり腰の開いた五の目丁子乱が連続し、箱風の所作もある。匂口は小沸出来で深くふっくらとし刃縁が冴え、刃中は広く沸づき丁子の足が長く所作する。
鋩子
直調に入って先は尖り気味になり、返は掃掛てやや深く返る。
伊賀守金道

板目の地肌とはこういうものです、杢目とはこういう肌を言います・・・肌モノとは言えないかもしれませんが、肌目がよく認識できる見本のような本刀。棟寄りは柾心、これ一振で肌模様を一覧できます。肌立ち気味に見えますが、決してザラついた粗いわけではなく、綺麗な線模様が織りなす美しい地景が刀身全体に広がります。その地肌に焼かれた刃文は腰の開いた五の目。最初は間隔をおいて、徐々に狭くなり連続します。やや箱風になった個所もあり一様には見えません。沸崩はほとんどなく、代わりに丁子の長い足が所作し、刃中に沸が厚くつきます。特に刃先は広い帯状になり、匂口と合わせて二段構えにも見え独特の刃文のようにも映ります。焼幅の印象もそれに加担しているようで、元は狭く焼き、先に向かって徐々に焼幅が広くなるのですが、その調子に合わせるかのように刃文も密になっていき、それが強弱の躍動感を強く印象付けるのかもしれません。ちなみに表裏の刃文はほぼ揃い気味・・・古刀の写かもしれませんが、この刃文からは時代も含めて刀工は絞りきれませんね。敢えていうなら備前の誰々・・・いやいや、出自を考えて関の云々・・・どなたかご指摘ください。

姿は江戸最初期の慶長頃の体配、反浅め、元先の差はあまりなく、切先は延び心というより大切先といっても良いぐらいです。身幅は広く、そのまま先へ延びていく姿はがっしりとして堂々たる体配。重ねは身幅に対してやや薄く、手にした時のバランスを程よく考えているようです(この重ねが三分もあったなら重くて手に余ります)。正直、カッコイイ姿です。地鉄、刃文、そして姿・・・どの要素も重要刀剣にふさわしい出来栄えをみせる本刀。気になる作者は京五鍛治の棟梁となった初代・金道。初代の作刀時期は末古刀と新刀の端境期ですから、本刀を見て作者の区分という観点からこれは新刀だなと分けるのはナンセンスです。刃文、地肌、体配といった造からすれば、末古刀の特徴が色濃く出ていると思います。そう言った意味でも、この時期の刀への見方を再考し、これまで以上に評価すべきではないでしょうか。本刀はその良い作例と言えるかもしれません。
付属する拵は黒呂漆塗鞘の打刀拵。鞘には三つ葉葵の家紋、赤銅の縁も波地に三つ葉葵の家紋が施された状態の良い作りで、目貫も三つ葉葵の三双紋が付けられています。鐔も表は三つ葉葵の変形、裏は二葉の葵をデザインした肉合彫の鉄鐔、武州住正恒の銘があります。総体に品よくまとめられています。

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