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脇指
越後守藤原国俦
商品番号 :A-SD171
江戸初期 山城 重要刀剣 白鞘入
売約済
刃長:37.4 cm 反:1.0 cm 元幅:3.35 cm 先幅:2.50 cm 重ね:0.77 cm 目釘孔:1つ
- 体配
- 平造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。表に腰樋、裏は腰樋に添樋を鎺元で掻流。
- 地肌
- 小板目肌を密に詰み、良く整って細かく精良な肌合いとなる。
- 刃文
- 匂本位の五の目乱。焼幅は広く、腰の開いた間隔が異なる五の目がランダムに交ざり不揃いな刃文となる、匂口はふっくらと柔らかく、刃縁が冴える。
- 鋩子
- 直調に入り僅かに弯れて小丸となり、深く返る。
物打あたりまでは抑揚のある五の目乱が続き、その上は大人しい刃文になる指表に対して、指裏は元先通して抑揚ある五の目乱。“見せる刀”の意識なんてどこ吹く風、江戸期に入ったとはいえ、まだまだ戦の時期、“戦う刀”を作っていた頃の特徴が現れた一振で、ある意味、末古刀の部類といっても過言ではありません。とはいえ、精良な地肌の鍛はどことなく新刀を匂わせ、密に詰んだ肌合いを見せています。
本脇指の作者は国俦、言わずと知れた堀川一派を代表する刀工です。親国貞、親国助の実質的な師と言われ、作刀数も少ないとされています。その国俦の地肌ですが、一般的に堀川一派の特徴とされるザングリとした肌になるとされています。本脇指の地肌は・・・小板目が詰んで細かく、う〜ん、精美な肌合いながらも僅かに肌立った感じがします。肌立ったといっても荒れた地肌ではなく、地景でもなく、肌目が冴えるというか際立つというか・・・こればかりは実際に経眼していただくのが良いかと。ザングリ肌とはこういうものかと実感できると思います(んなこたぁ〜知ってるよ、と言われるのは承知しております)。
国広一派そして国俦の匂口は沸出来とされていますが、本脇指は匂出来・・・にしか見えないのですが、当店の目が曇っているのか、節穴なのか・・・ふっくらと柔らかく匂口が冷麦くらいの太さで五の目を描いています。粗い粒々の沸は見当たりません。匂崩もなく抑揚のある五の目の稜線が冴え渡ります。もちろん、叢沸もなし。感心するほどすっきりとした匂口は、働きがないとか、崩れがなく面白みがないとか、激しい所作を求める方には物足りないくらいかもしれません。僅かに一個所二個所に湯走風の所作はあります。しかし好みを別にすれば、この匂口は極めて上手く上出来です。
ちなみに本脇指には、キズが一個所あります。かなり目立ったキズです。指裏の横手より少し下に何かで抉られたような跡が・・・誉傷(刀傷)だと言われているようですが真偽はわかりません。確かに硬く鋭利なもので切りつけたような感じがします。良くいえば、本脇指には興味の沸く何らかの物語を秘めているということで、ご了承くだされば幸いです。