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太刀・刀 “うもれし”一振

源盛匡作

商品番号 :B-034-K-059

室町中期 筑前 特別保存刀剣 白鞘

2,400,000円

刃長:75.4 cm 反り:3.5 cm 重ね:0.78 cm

体配
本造、庵棟、中心は約1寸磨上、孔は二つ、鑢目は切り。表裏に棒樋を中心尻上まで掻流し。
地肌
板目が流れて柾目ごころになり、所々僅かに綾杉風となる。
刃文
深い匂出来の細直刃が僅かに湾れごころになり、移が鮮明に出る。匂口はやさしく、元先乱れず上手である。
鋩子
僅かに掃きかけて、地蔵風に浅く返る。
備考
本作の特徴は見た目にも印象的な深い華表反(とりいぞり)です。それもかなりの反具合です。身幅は頃合いで重ね厚い造ですが、棒樋があることによって見た目以上バランスよく整えられています。その健全度も申し分なく、500年の時を経てこの姿に驚かされます。地鉄の美しさも見所の一つ。板目が綾杉風となり流れて柾目ごころになる様が、ハッキリと表れ深く鮮明な移と相俟って古刀の趣そのままです。
盛匡は筑前(豊後でも作刀)の金剛兵衛一門で、室町時代の文亀頃活躍した刀工です。金剛兵衛一門は無骨な体配が多いとされていますが、本作は細直刃の優しさと深い華表反が、優雅さと力強さを持ち合わせた一振りです。

稀有のスタイルが自慢の古刀

まさに“弓なり”という表現が似つかわしい本作。登録証の記述では3.5cmとなっています。当店が扱う太刀・刀・脇差の中では、最大の反で、過去に経眼した中でもこれ以上のものは見た事がありません。
反の算出基準は2つあって、一つは現在一般的に使われている棟区の棟筋から切先の棟筋先までを基線として割り出した高さ“A”。もう一つは中心尻の棟筋から切先の棟筋先までを基線とした高さ“B”です。中心も湾曲している太刀等の体配や使用法、柄を装着した状態を考慮すれば、Bの算出基準で計るのが妥当だと当店では思っています。本刀を“B”で計ると5.3cmも反があり、反の深い古刀の太刀にも負けていません。しかも華表反です。華表反の刀は大磨上無銘極(来一派・粟田口一派等の古い京物)ですが、1寸の磨上で華表反の姿になっている本作は、最初からこの体配で作られたといってよいでしょう。中心も僅かに伏せられており、本来はもっと反が強かったはずです。
本刀が作られた時代は室町中期の文亀頃。体配の時代的流行が遅れがちな筑前の地とはいえ、意図的な反を持たせたとしか思えない本刀・・・時代背景も考えれば、太刀としての併用も考慮した結果の姿なのかもしれません。この見事?な深い華表反姿を優雅と見るか無骨と見るか、または稀有、あるいは愚劣な眼で見るかは、愛好家の趣向にお任せします。異性で例えるのは失礼ですが、芯の強い大和撫子、それとも異風情緒豊かな女性に惹かれますか? そう問われるのと同じですね。どちらにせよ、ソリの合う愛好家に出会えることができれば幸いです。(プチ整形美人からの求愛・店主による代筆)

●シンメトリーな弧を描く本刀の華表反

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