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太刀・刀

出羽國米澤住綱俊 文政四年四月日

商品番号 :B-058-142+101

江戸後期 出羽 特別保存刀剣 白鞘・拵付

売約済

刃長:69.8 cm 反り:2.0 cm 重ね:0.80 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は化粧に筋違。
地肌
小板目に杢目交じり、良く詰んで精美な肌となる。指表鎺上は板目に流れ、鎬地棟寄りは柾目になる。
刃文
焼幅広く小沸出来の濤瀾刃。匂口は締り心に小足が入り、刃寄りに小沸がつく。刃中と鎬地に円形の飛焼・葉が入る。
鋩子
直状に入り小丸となり、やや深く返る。
備考
加藤綱俊の濤瀾刃です。焼頭は少し箱がかっている箇所があります。匂口をよく見ると、谷に方にも何箇所か平ったく箱風の所作が出ています(丸い孤に刃取りがされているようです)。意外に大人しい濤瀾刃か思いきや、結構激しい働きがでているようで、丸い飛焼が刃中にも鎬地にも頻りに現れています。匂口に絡む小沸は深くふっくらと拡がり、濤瀾刃特有の光景を見せていながら、柔らかな丁子風の小足が盛んに出ているのが見所でしょうか。
濤瀾刃は兄である加藤綱英に学んだのは疑いのないところで、刃取りも匂口の深い小沸もやはり助広の濤瀾刃を目指しての作刀と見ていいと思います。そこに先ほど挙げた丁子風の小足が所作するのですが、まだ水心子に備前伝を学ぶ前の作刀であることを考えれば、控えめで柔らかな小足が若き綱俊の特徴と見ることもできます。本刀は綱俊がまだ米澤に住んでいた頃の作刀ですから、このような興味深い作ができたのかもしれません。あくまで私見ですが、江戸に出て長運斎綱俊として活躍するようになった頃の匂口は、本刀のそれよりやや鮮明に感じられるのです。方や濤瀾刃、方や五の目に丁子といった刃文ですから較べること自体ナンセンスですが・・・(何を言っているんだと叱られそうですね)。
ただ、米澤、江戸でも関係なく綱俊の作に共通して感じることがあります。刀姿です。こればかりは刀工のセンスだと思うのですが、身幅、重ね、反、それらが一つになった姿・・・洗練されてスマートな刀姿に思えるのは私だけでしょうか。どれもが野暮ったさがなく、上品なイメージを持ってしまいます。本刀は文政四年、綱俊24歳の作です。若き綱俊の感性と生まれ持った個性が織り成した作といえば、少し盛り過ぎかもしれませんが、若くして澄まされた感覚に後々成就した才覚を感じます。

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