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太刀・刀

肥後国佐方輝信 天保三年十一月日

商品番号 :B-062-I-157

江戸後期 肥後 保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:64.4 cm 反り:2.2 cm 重ね:0.75 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は勝手下に化粧。
地肌
板目肌に小板目交じり、良く詰み所々杢目が交じる。鎬地、棟寄りは柾目心に流れる。
刃文
焼幅やや狭く、匂出来の浅い五の目乱に丁子風の足が所作する。匂口深くふっくらと刃縁が冴え、刃中に小沸が微塵に付き、砂流風の所作も出る。
鋩子
直状に入り少し乱れて地蔵風にやや浅く返る。
備考
短い中心でわかる通り、見た目もそのままの末備前の写です。勝光あたりでしょうか(当てずっぽうです、ご容赦ください)・・・誰の写かは定かではありませんが、天保年紀の新々刀でこの中心形状をやるということは写以外は考えられず、刃長も末古刀の片手打を意識した二尺一寸強ということも考えれば、注文主の要望でしょうか。仮に注文打でないとしたら、ずいぶんと思い切った挑戦でしょうし、たまたまやってみましたなどとは想像できません。ただ、中心の重ねはそれほどフックラとはしておらず、この辺は時代の感覚が勝った結果でしょう。(どうせやるなら、中心の重ねも研究して欲しかったなあ)まあ、柄に隠れて見えない箇所ですから、そこまで突っ込むのは意地悪ですね。中心からの延長線にある刀身の重も薄目で、鎬が狭いので刃肉も痩せ気味、その分、総体にシャープに見えます。つまり末備前の新々刀版・・・ある意味、中心を晒した姿はちょっと独特の印象を与える一振です。
刃文は表裏揃っておらず、匂口は新々刀らしくなくフックラとして締まっていないところがまた面白く、まるで真改ばりの焼込、その出来を見直しました。まとめると、姿は末古刀風+新刀・真改風匂口=新々刀版末備前写。(一体、何が言いたいのかわからくなってきました。)
作者の輝信は肥後藩士だったようで、水心子正秀の門人。道理で末備前の写をやるわけです。ちなみに中心の下部に千鳥の刻印がありますが、これも正秀の影響と考えられます・・・納得。でも、なんで千鳥なんでしょうね。輝信の家紋なのでしょうか・・・。

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