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大野義光

太刀

於備前国義光彫同作 平成十三年二月吉日

商品番号 :B-066-O-088

現代 「与三左衛門尉祐定」写 白鞘

売約済

刃長:72.0 cm 反り:2.5 cm 重ね:0.89 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔一つ。鑢目は勝手下。表裏に棒樋と添樋を横手上から元上約20cmまで丸留、その下から鎺元の中間に梵字を彫る。
地肌
小板目肌よく詰み、精美な肌となる。棟寄りは柾心に流れる。
刃文
焼幅広く、匂本位の腰の開いた五の目乱に丁子風の足が頻りに働く。所々小さな飛焼、葉が所作する。匂口は締まり心に刃縁は冴える。
鋩子
腰の開いた五の目乱がそのまま乱れ込んで浅く返る。
備考
当店も様々な刀で刃縁の冴えを評していますが、「冴えた刃縁」とは本来、本刀のような刃縁のことを指すのだろうと思います。締まり気味の匂口も影響しているとは思われますが、鎬地と匂口のコントラストは鮮やかな稜線を描き出しています。鎬地、匂口、足、そして刃先、それぞれが明瞭に主張し、足先は向き・強弱の変化に富み躍動感があります。
本刀は与三左衛門尉祐定の写で、典型的な腰の開いた五の目乱(俗に言う蟹の爪)を破綻なく焼き上げています。当の与三左衛門尉も本刀を目にしたなら、目を見開いて立ち竦んだに違いありません。五の目の頭に付きがちな沸崩れや小沸の叢がなく、表裏完璧と言えるほどに焼き上げた大野刀匠の技に驚き感嘆して見入ったことでしょう。写とはいえ、備前よりも備前らしく、祐定よりも祐定らしい一振と例えても過ぎた表現ではないと思います。もちろん、与三左衛門尉という俗銘入りの最高作に並び称されてよいと当店は評します。異なる様を敢えて挙げるなら、五の目の谷から所作する足・・・その豊富な働きと柔らかさはまさに大野刀匠独自のもの・・・まるで蟹の爪に大野丁子(重花丁子)が融合したかのような刃文になっています。例えが逆ですね。大野丁子を蟹の爪風にした、これが正解かもしれません。どちらにせよ、華やかさの中に整然とした印象を受ける景色になっているのが本当の見所。さらに刀身全体の姿・・・何度見ても、どれをみても、大野刀匠の刀姿にはセンスを感じます。持ち上げているのではありません。素直に、「カッコ良い」のです。

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