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太刀・刀

陸奥守包重

商品番号 :B-070-I-188

江戸前期 摂津 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:63.9 cm 反り:1.7 cm 重ね:0.77 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は化粧に勝手上。
地肌
板目に小板目交じり、鎬地は柾目心に流れる。少し肌立ち気味に総体として精美な肌となる。
刃文
焼幅広く小沸出来。弯調の乱に数個まとまった腰の開いた五の目のパターンがランダムに交じる。匂口は深くほつれ、金筋、砂流風の所作が所々に出て、短い小足が頻りに所作する。
鋩子
直状に入り、弯れて尖り気味に小丸となって深く返る。
備考
焼幅の広い焼出が約4寸程続き、そのあと緩やかな五の目乱の集合がきて、直調の弯、五の目という変化を見せる刃文。焼出に関しては、これを焼出と見るか、直刃または直調の弯の一部と見るかは意見の分かれるところです。時代と摂津という場所を考えれば、焼出と捉えてもおかしくはありません。そのあとに展開する弯と五の目のパターンは、表裏揃っていそうで五の目の数が異なっていたり、これまた表裏を整えたのか判別が難しい刃文です。まあ、要するに写物なのかどうかの判断材料にしたかったのですが、その前に意図的な意匠の刃文ですから見せる刀の部類だと思われます。
意図は別にして、包重(右陸奥・包保の初銘)は手掻の末裔・包保(左陸奥)の後継ですから、大和伝、そして左陸奥の特徴が本刀に出ているのか興味のあるところです。肌立ちながらもよく詰んで精美な板目の地肌(本刀には柾目が見られません)、鎬地は柾目・・・似ています。匂口は沸本位の広直刃のような深さを見せ、短い小足が絡み、金筋・砂流風の所作が所々に出ている点・・・似ていなくはないです。じゃ〜二重刄や喰違刄があるかといわれれば、それらしい所作が指裏中程に・・・でもこれはそう捉えてよいものかどうか。総括すると当店の感想としては、基本の家伝を踏襲しながら、自分の感覚と時代の潮流を取り入れて「包重の刀」に纏め上げた一振だと思います。そういう意味では十分なオリジナリティを感じる刀です。刃縁に沸のこぼれもなく、鍛もよく、評価できる刀です。
包保の作というと、左だ右だと中心仕立(鑢目)の話ばかりが取り上げられますが、その前に刀の出来不出来をもっと突っ込んで評価したいものです。(当店もその例に漏れないので、自己反省しております。)

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