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太刀・刀 “うもれし”一振

東都住源介秀造之 昭和二二五年八月日

商品番号 : B-074-167

現代 白鞘

売約済

刃長:63.0 cm 反:1.4 cm 元幅:3.27 cm 先幅:2.32 cm 重ね:0.70 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は化粧に筋違。
地肌
小板目肌によく詰んで、先の方が少し流れ心になる。鎬地棟寄りは柾目になる。
刃文
焼幅広く、特に真ん中辺りを広く焼く。匂口は沸本位で表は激しい丁子乱、裏は少し抑えた丁子乱で元と先が五の目風になる。刃中に金筋、砂流が頻りに所作し、真ん中辺りに沸崩がある。所々飛焼と棟焼があらわれる。
鋩子
五の目調に入って先は尖心になる。返は尋常。

姿と刃長、刃文、そして延び心の切先、おそらく末備前を倣ったものだと思われます。なかなか良い姿をしています(ただ、物打にごく小さな刃こぼれが一つあります。鑑賞に差障るほどの疵ではありませんが、ご報告を)。本刀の特徴といえば、真ん中辺りの広く焼いた刃文でしょうか。沸本位でことのほか激しく焼いています。なので沸崩が所作し、そこへ金筋、砂流が絡みます。さらに飛焼と棟焼も加勢し、刀身全体に荒波が打ちつけられたような光景が広がります。しかし丁子乱が主体となっているので、皆焼のような印象とは異なります。

では、しっかりとコントロールされた見事な焼きなのかといわれれば、そこはなんとも微妙な評価・・・かなり激しい指表の刃文とおとなし目の指裏の刃文を見比べると、少し違和感が拭えません。この違いは大概の刀に現れるようで、表裏差がなく焼ける刀工はやはり超一流の証なんだなと痛感させられます。(この差異は、真っ赤に焼いた刃を淬刃するまでの距離・時間差によって刀身の表裏に温度差が出ることによると言われています。指裏側の方が当たる空気の風を強く受け、指表に比べて温度が低くなるためです。)
本刀におけるこの表裏の表情は、自然に出てしまった面白さとして受け入れていただければ、それはそれで楽しめる見所に・・・(少し苦しい言い訳)。その結果としての匂口はこれまた面白く、末備前を倣ったはずがお隣の備中水田国重に似ているような・・・沸出来で沸崩が交じった激しい乱、飛焼や峰焼もそれらしい風合を醸し出しています。これは、もしかして見る側の誤解なのかもしれません。本当は国重を倣ったものなのかも? もうこうなったら国重写ということで収めましょう。
作者の源介秀は東京の立川で活躍した軍刀刀工で、一説には水心子正秀の流れを汲んだ刀匠との説も。弟子には二代康宏刀匠(小林直紀)がいます。本刀は昭和45年に作られた為打で、この激しい刃文は注文主の要望でしょう。

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