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刀
肥前國住人廣則 寛永十年八月吉日
商品番号 : B-075-191
江戸初期 肥前 保存刀剣 白鞘
1,250,000円
刃長:68.1 cm 反:1.5 cm 元幅:2.88 cm 先幅:2.05 cm 重ね:0.68 cm 目釘孔:1つ
- 体配
- 本造、庵棟、生中心、鑢目は切。
- 地肌
- 小板目肌によく詰んで無地風となり、精美な肌となる。先の方に杢目が交じり、鎬地と棟寄りは柾目心。
- 刃文
- 小沸出来で、丁子の足が入った腰の開いた五の目乱を広く焼く。匂口はふっくらと深く柔らかな丁子の足が出る。刃中は明るく刃縁は冴えて所々尖刃風の刃が交じる。
- 鋩子
- 小五の目風にやや乱れて入り、先は掃き掛けた小丸で尋常に返る。
本刀の作者は初代播磨大掾忠国。廣則は忠国の初期銘で播磨大掾を受領する前の作です。肥前の本流・近江大掾忠吉に対し、脇肥前の雄として君臨する忠国。脇肥前ならではなの自由で大胆な作刀を遺憾なく発揮しています。過ぎた所がなく精美で品格がある教科書のような本家の作りに対し、野趣に飛んだ面白さと独創性を試みた本刀は至る所に忠国のオリジナリティを感じる作となって好感が持てます。姿はやや細身で重ねも薄め、反はやや深め元先に差がある優しい姿。反面、刃文は激しく、細身の身幅の半分程まで焼き上げています。
山が二つ繋がった腰の開いた五の目が大小ランダムに続き、表裏ほぼ揃った乱・・・この手合いは忠国が得意とした刃文なのでしょうか。作風がなんとなく初代忠吉の初期頃の作に似てなくもありません。地肌もそうで、元の方は良く詰んで無地風の小板目ですが、物打辺りから杢目交じりに流れて少し肌立った肌目になっています。この辺が忠国らしいといえばそうで、脇肥前だなと言われる所以なのかもしれません。ある意味、完璧ではない。しかしある意味、面白さと動きがある・・・当店としては、見所として捉えていますが。刃文の所作でもう一つ、五の目の頭に瘤のような丸い焼が所々にあります。これは俗にいう虻の目というものでしょうか。その虻の目を避けるように丁子の足が出ています。忠吉の足長丁子とは言えないような感じですが、深く柔らかいのは同じ、尚且つ、ちゃんと帯状になっているあたりは肥前刀らしさが伝わってきます。本刀を総括すれば、本家肥前刀の特徴を備えながらも脇肥前の見所を兼ね備えた一振・・・(無理やりくっつけた言い訳に聞こえますが)。それとも初代忠吉と父である吉家たちが模索していた頃の風合いを伝える一振。まあ、どちらも同じことを言いたいわけですが、忠国が後々創り出す積乱雲のごとき大乱につながる片鱗が随所に見られる一振といえます。