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太刀・刀

豫州駿河守藤原國正

商品番号 : B-076-193

江戸前期 伊予 特別保存刀剣 白鞘(寒山鞘書)

1,000,000円

刃長:68.3 cm 反:1.2 cm 元幅:3.21 cm 先幅:2.20 cm 重ね:0.84 cm 目釘孔:2つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。
地肌
柾心の小板目肌をよく詰んで精美な肌となり、元の方に板目が交じってやや肌立つ。鎬地棟寄りは柾目に流れて肌立ち心、淡く移が出る。
刃文
焼き幅広く、小沸出来の大弯。匂口はふっくらと深く、刃縁が冴えて、刃中に小沸が付き小足が頻りに所作する。所々肌目に沿って金筋・砂流風の所作が出る。
鋩子
直調に入り掃き掛けて大丸風となる。返は弯れてやや深く返る。

重ねが厚く身幅も広めで、法量から見ればガッシリとした寛文新刀ですが、端正でスマートな姿が印象的な本刀。やはり、この大弯の刃文がそう見せているのでしょう。2尺3寸弱の間にほぼ同間隔で大きな山が3つ、ふっくらとした深い匂口がゆったりと弯れて落ち着いた感じで、これを指した持主はさぞかし穏やかな性格だったと想像してしまいます。(刃文と持主の好みや性格は、実際一致するのでしょうか? どうでも良さそうなことですが興味のある点です。)

弯の曲線とは裏腹に匂口の刃先側は意外に賑やかで、元から先まで小足が頻りに所作し見所満載で楽しめます。刃中には小沸がついて、そこに金筋、砂流風の所作が表裏共に数カ所に現れているところも見逃せません。匂口から角度を変えて所作する金筋の所作は、見方によれば控えめな喰違刄と言えなくもありません。おそらく柾心の小板目肌に沿った所作で、刃文が弯れて蛇行する箇所に必然的に出た感じがします。この地肌にして沸が豊富であれば当然出てくる見所だと思われます。この弯の刃文ですが、決して新しい形ではありませんが、本刀が作られたのは寛文頃なので、新刀特伝の見せる刃文が出てきた頃。本刀の弯はその例に倣って”見せる弯“なのか、それとも古刀を例に取った“昔ながらの弯”なのか、皆さんはどう思われるでしょうか。(当店は後者にみています。ただし根拠も理由もありません。単に直感です。)
それと隠れた見所を一つ・・・中心の肉置です。小肉がついてふっくらとし握るとその感触の良さが掌に実感できます。鑢目も表裏だけではなく棟、刃先、中心尻まで丁寧に刻まれ、実に良い造込(ただ鎺元の鑢目は少し雑な感じがします)。以上、刃文、造込を踏まえると、本刀は注文打の入念作ではないかと安易に妄想して決めつけているのですが・・・外れていても恥じません。本刀はその評価に見合った一振だと当店は思っています。
初代・駿河守正国は伊予の伊達秀宗のお抱え工。江戸の安定の門人で、法城寺正弘の子または門と言われています。大和守安定の門人ですが、弯に小足が豊富に入った本刀はどちらかと言えば法城寺の作域に近い感じがします。法城寺ですからよく言えば虎徹風の一振といったら、みなさんそっぽを向きますね・・・飛躍し過ぎです、失礼しました。

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