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大野義光

太刀

於越後国義光作之 平成三年秋吉祥日

商品番号 : B-081-O-207

現代 東京 無鑑査刀匠 白鞘

売約済

刃長:72.4 cm 反:2.7 cm 元幅:3.40 cm 先幅:2.40 cm 重ね:0.80 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は勝手下。表裏に棒樋を中心尻の上2寸まで掻流
地肌
小板目肌良く詰んで無地風となり精美な肌となる。鎬地、棟寄りはやや柾目心になる。
刃文
匂本位の逆丁子乱。焼幅広く、匂口は締り心で逆丁子の足が激しく延び、刃中は小沸が厚くつき、葉が頻りに所作する。刃縁は冴えて鎺元から先まで移が現れる。
鋩子
刃文がそのまま乱れ込んで、浅く返る。

覇気を感じるとは本作のような刀のことを言うのでしょう。豪壮とは違います。深い反の孤に沿って、華やかに乱舞する逆丁子は燃え盛る炎のように揺らめき、まるで不動明王が乗り移った剣のごとき風合いです。温和な大野刀匠の心の奥底にある強い気迫が感じられます。本作が作られたのは平成三年ですから心身共に力が漲っている最中、本作が発するエネルギーに納得です。

その激しい逆丁子は、小さい乱が4〜5個と大きい乱が1〜2個の組み合わさって連続し、刃先に向かって揺らぐ足が絡んで複雑な光景を作り出しています。それも単なる逆丁子乱ではありません。大野丁子(重花丁子)の逆丁子版・・・強いて言うなら逆重花丁子という表現が妥当でしょう。しかし勝手気ままに乱れる様ではなく、足の長さは統制され品格と意図した美しさが表現されているあたりが、大野刀匠ならではと言える感覚なのかもしれません。本作を立てて手にすれば、その刀姿にしばらく見入ってしまい、眼が勝手に元から先まで炎の刃文を追いかけていくようです。
本作の狙いは何だったのでしょう。写であればやはり片山一文字の逆丁子に倣ったのでしょうか。ただ、ここまで緻密で複雑な刃文は、一言に備中青江あたりを写したでは物足りません。逆重花丁子からすれば、片山一文字+福岡一文字ということになります。ならば共通する一文字を使わせていただき、大野一文字というのはいかがでしょう。もちろん写物という前提の話です・・・もう例えの話は無しにして、大野刀匠の逆重花丁子が正解ということに。

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