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太刀・刀

陸奥白川臣固山藤原宗俊造之 慶應三年二月吉日

商品番号 : B-083-083

江戸後期 陸奥 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:71.6 cm 反:1.20 cm 元幅:3.35 cm 先幅:2.28 cm 重ね:0.85 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は化粧に筋違。
地肌
小板目肌よく詰んで無地風となり精美な肌合いをみせる。鎬地・棟寄りは柾がかる。
刃文
匂出来、腰の開いた五の目に丁子乱が元先まで整然と続く。焼幅はやや広く、匂口はふっくらと刃縁が冴える。
鋩子
刃文が乱れ込み、先は小模様から小丸となってやや浅く返る。

固山宗次については、かなり詳細に語られ紹介されるていますが、宗俊はそのオマケ的扱いが多く少しかわいそうな気がします。確かに似ているからといって、作風・所作を宗次に準じるが如く片付けられては宗俊もたまったもんではありませんね。なので、宗次を無視してありのままに本刀をみていくことにします。
地肌は精美です。小板目を良く詰んだ無地風です。でも、まったりと淀んだ感じではなく小板目の風合いを残しながらも緻密。肥前刀の梨地肌とは違い、詰み過ぎた柾目・・・点ではなく微細な線が密集したような肌美人です。その地肌に腰の開いた五の目丁子乱が元先まで同じような調子で続きます。五の目の頭は綺麗な弧を描き尖刃は交じりません。抑揚を抑えた穏やかで柔らかな線ですが、高低差があり一本調子ではなく、刃縁も見事に冴えて崩れもありません。いや〜上手です。丁子の足も丸味を帯びて柔らかく、そして匂出来の深みを持ちながらも清涼感が感じられます。この足が右往左往に伸び、躍動感を感じさせます。足の長さは意外に均一で肥前刀の特徴である帯状の匂口に近い所作。統制された遊びであり、デザインの中の“動き”を感じます。鋩子も面白く、新々刀らしく刃文が乱込んでそのまま返るのかと思いきや、小模様から先はきちっと小丸になるのです。新刀と新々刀のハーフのような形・・・まあ、新々刀はどちらもありなので、見所とはなりませんが参考までに・・・。随分と褒めましたが、要するに匂口に沸崩や沸叢がなく極めて上作な一振といえる本刀です。

姿は適度な反に元先の差も頃合いで優しい体配ですが、重ねはしっかりと厚みがあり健全度も極めて良い状態です。新々刀ですからこれぐらい残っていても驚きませんが、疵もなく整った顔立ちといい、あまり付け入るところがないのが唯一の欠点かもしれません。あるとしたら、宗次に似てるだとか加藤綱英の流れだとか綱俊に影響されたとか・・・一様に周囲の名声揃いに隠されてしまうことでしょうね。よく、宗次の兄として紹介されることが多い宗俊ですが、本刀の宗俊は慶應年紀ですからおそらく二代・宗俊。であれば、宗次は兄弟ではなく伯父にあたります。ただ、初代は明治三年没(76歳)ですから初代の作という可能性も・・・ないですね!あっても二代の代作でしょう。初代と変わらぬ技量を持ち、伯父やその一派に引けを取らぬ作をここに見せる二代・宗俊。宗次の作位で片付けるではなく、もうちょっと注目してもよい刀工ではないでしょうか。

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