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太刀・刀

肥前守藤原重則

商品番号 : B-085-204

江戸中期 武蔵 特別保存刀剣 白鞘・拵付

売約済

刃長:64.7 cm 反:2.45 cm 元幅:3.23 cm 先幅:2.30 cm 重ね:0.80 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は鷹羽。
地肌
板目肌よく詰み、所々杢目が交じる。刃寄り、鎬地は柾心に流れる、移が出る。
刃文
焼幅広く、沸出来で腰の開いた五の目丁子乱で尖刃が交じる。匂口は締り心で沸が深く所作し、肌目に沿って砂流が広くかかり、刃中に地沸が厚く付く。
鋩子
短く乱れ込んで一枚風となって折り返し、少し棟焼気味に深く返る。

身幅は広め、重ねは厚く刃には小肉がついて至って健全な姿をとどめ、目立った疵もありません。体配は元先に差があり反の深い造込、元禄頃の刀姿そのままです。本刀はやや先反気味で古風な片手打の風合いを持ち、中心も短かいので末古刀を見ているようです。それでも広い焼幅を目にすれば、これは新刀かなと思い改めることに・・・焼き、広いです。身幅の半分以上を焼いています。刃文は刃取りのせいか頭が丸い腰の開いた五の目乱に見えますが、光にかざした匂口は尖刃が交じっています。焼き始めはその五の目に乱れた丁子風、そしてそこから蛙子丁子風に切先まで連続します。動きのある刃中とは逆に刃縁には叢沸のこぼれもなく正直上手です。
この蛙子風の所作ですが、頭よりも谷(刃先側)の方が丸く膨らんだ形状で逆兼房乱といったらよいのでしょうか・・・まるで線香花火の滴った玉がずら〜っと並んでいるかのごく独特の光景を見せています。そして刃中に厚く沸が付き、肌目に沿った広めの砂流が至る所に現れ、多彩な所作を見せてくれます。これらの所作は、やはり美濃風の作域と言って良いのかわかりませんが、末古刀の体配に美濃風の所作を新刀らしく焼き上げた一振と総括するのはいかがでしょう。

作者は武蔵の肥前守藤原重則。時代は元禄より少し前の貞享頃とあります。武蔵ですが本国は美濃で、江戸に集まって来た刀工の一人と言われているようで、けっして名の通った刀工ではありません。ほぼ無名に近い存在ですが一応、肥前守を受領しています。どこかの門人になったのか、お抱え工だったのか、それとも独立した一刀工だったのか、情報がほぼ不明です。でも、中心に鷹羽の鑢目を刻っていることからは、美濃刀工という意識なり想いを強く持った刀工だったことが伝わります。

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