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太刀・刀

対馬守橘一法造 承応元年八月日

商品番号 : B-088-218

江戸前期 武蔵 保存刀剣 白鞘・拵付

売約済

刃長:61.4 cm 反:1.1 cm 元幅:3.08 cm 先幅:2.15 cm 重ね:0.68 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目はやや深めの勝手下。
地肌
板目に小板目肌良く詰み杢目が交じる。鎬地・棟寄りは柾心に流れ、乱移が鮮明に現れる。
刃文
焼幅広く、小沸本位の五の目丁子乱。匂口はふっくらとして太めと細めの丁子が盛んに所作し、尖刃交え、刃中に沸が広く付く。
鋩子
少し乱れて入り、先は小丸となって掃き掛け、返は浅い。

移という所作を見るにはもってこいの刀です。灯りにかざす角度や強さを選ばず、その光彩の差が明瞭に飛び込んで来ます。移というものがよくわからないという方でも容易に識別できる本刀は、最適な教材と言えるかもしれません。鮮やかな乱移が元から先まで表裏共に浮き出ています(はあ〜こりゃ凄い!と思わず目を丸くします)。それだけでは収まりません。煙込も見事に連結しています。古備前の証とも言える移と煙込、両者が揃って明瞭に現れる作は意外に少なく、古い作しか興味がないという方にも是非ご覧になっていただきたい一振です。
刃文は高低差のある五の目丁子乱・・・言わずと知れた一文字に倣い、激しい匂口は鎬地に迫る程の頭が煙込と融合して、古備前と見紛う光景を作り出しています。体配が寛文新刀の姿でなかったら、古備前に変身させられたといっても良いぐらいで、お世辞抜きに見事な一文字写だと評価できる一振です。

匂口はやや締り心でふっくらと柔らかく丁子の足が縦横に所作し、表裏異なる風景で見せる刀という意識はあまり感じられません。地肌は板目に小板目が交じって杢目もあり、きれいに詰んでおり肌立ってはいませんが、鎬地は柾目に流れます。長さは二尺ちょっとで、寛文新刀の姿に明瞭な移・・・石堂系を自然に思い浮かべます。本刀の作者は対馬守橘一法造。江戸石堂の一人、常光とされています。ただ、一法が常光同人なのかは確証がないようです。それでも「対馬守橘」と刻っているからには江戸石堂一派には違いないと思われます。もちろん、本刀の造と刃文、そして移の所作は動かしがたい事実。同人だろうが別人だろうが、江戸石堂の典型的な一振とみれば良いのではないでしょうか。

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