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太刀・刀

於因幡師家 上野国須河寿長 寛政二二年二月日

商品番号 : B-089-239

江戸後期 上野 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:70.3 cm 反:1.5 cm 元幅:3.20 cm 先幅:2.35 cm 重ね:0.86 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は化粧に筋違。
地肌
小板目よく詰み精美な肌となり明るく冴える。鎬地・棟寄りは詰んだ柾目。
刃文
焼幅広く、長めの焼出に始まる匂出来の五の目丁子乱。匂口は締り心で刃縁が冴え、谷から丁子の足が所作し明るく映える。
鋩子
直調に入って小丸となり、返はえぐれて鋩子に入り込み、やや深く戻る。
於因幡師家 上野国須河寿長 寛政二二年二月日

何よりもまず、その地肌の良さに目が行きます。小板目をよく詰んで極めて精美な肌合いを見せます。綺麗です、そして冴えた透明感があります。鎬地は目の詰んだ柾目、こちらも整然と目が並んでいます。その澄んだ地肌に、五の目丁子乱が広がります。かなり長めの焼出を伴って鋩子は乱れず、まるで新刀かと思える刃文の形状・・・五の目の焼頭は単独もあれば2つ3つと複数集まったものが、ランダムに組み合わさりあまり意図的な印象を受けません。表裏の形状も違っているようです。その焼頭は拳丁子風で、中河内(二代国助)でも狙ったのかと想像したくなります。それでも刃文総体の形状、そして繊細で端正に感じる姿も、固山宗次や長運斎綱俊に見紛うほどで、中河内や宗次らの特徴をミックスしたかのような一振です。沸崩のないすっきりとした刃に叢沸も全くなく刃縁はシャキッと締まり、鎬地、平地、匂口、そして刃に各領域のコントラストが冴え渡ります。簡潔に、上出来の刀だと思います。

作者は須河寿長。上野の刀工で浜部寿格の門人です。浜部派は備前伝が基本ですから門人である寿長が寿格の作に似るのは当然です。現に寿格にそっくりの作例があります。先に宗次や綱俊に似ていると書きましたが、正しくはその逆なんですね。本刀の年紀は寛政ですから、宗次や綱俊が寿格・寿長に似ているわけです。本刀のような作例は結構あるにも関わらず浜部派の評価が以外に低いのはちょっと残念。無名に近い門人である寿長がここまでの作を残すのですから浜部派の見方を少し変えてみるのもアリかと・・・ちなみに、ご存知かもしれませんが、あの清麿だって元を辿れば浜部に着くわけです。まあ、名前ではなく作品で評価するのが当然と言えば当然ですが・・・

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