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太刀・刀

越後守包貞

商品番号 : B-090-241

江戸前期 摂津 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:61.2 cm 反:1.2 cm 元幅:3.10 cm 先幅:2.00 cm 重ね:0.73 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。
地肌
鎺元は板目肌、それより上は小板目肌が詰んで杢目肌も交じる。鎬地・棟寄りは柾心に流れ、移が出る。
刃文
焼幅尋常に匂本位の中直刃。匂口は締り心に刃先側がほつれ気味になり、細かな小足が出て物打ちより先は頻りに所作する。
鋩子
直調に入って掃掛け、中丸となってやや深く返る。
越後守包貞

越後守包貞の刀です。二代でも照包でもありません。初代包貞です。作品は少ないと言われてますがどうなんでしょう。ここに一振あることだけは確かですが、照包の作のように華やかな濤瀾刃や五の目ではありません。地味な中直刃です。おまけに二尺ちょっとの刀です。(こう書くと、ここで興味をなくす人が続出?・・・まあ、それをあえて承知で解説を強行します。) 包貞を擁護するわけではありませんが、激しく乱れた刃文に対して直刃は真面目な造込ということもできます。刃文の基本ですから、どんな刀工にせよ直刃を焼いたことのない刀工はいないと思います。長さも定寸ではなく二尺強ということは、作り置きの普及品ではなく、注文打ちの作だと思い込めば気が晴れるというもの・・・実際、その可能性は高く出来の良い作が多いのも事実です。

では本刀を経眼してみると、ほぼ乱れのない中直刃が鎺元から切先まで同じ焼幅で続き、刀姿はすっきりとして優しくもシャープな印象です(反、元先の差、切先は寛文新刀そのままの姿)。やや締った匂口は叢もなく冴え、刃先に向かってほつれた小沸がいい感じで細かな小足が出ています。ただ、切先の下あたりが小沸が深くなり、小足がやや大きく目立った所作となっているようです。うーん、来の直刃に似ているような(来写ではないと思います・・・みなさん、来の直刃は有りで包貞の直刃は無しとか言わないでください)。鎺元あたりには匂口に絡んだ細い金筋があります。指表の切先下あたりの平地には打ちのけ風の所作も・・・これは湯走かもしれません。このように「地味」ながら破綻なく中直刃を焼いているのですが、それは包貞の系統を考えれば当然の所作なのかもしれません。包貞は陸奥守包保系である伊賀守包道の門人です。包保の元をたどれば大和手掻の末葉といわれていますから、直刃を得意とすることに違和感はなく、むしろ必然だと思われます。どうです、少しは本刀に興味を持ってもらえたでしょうか・・・それに照包を育てた包貞ということも評価して良いのかと(説得力のないゴリ押しとは承知しています)・・・いろいろ語ってしまいましたが、刀の評価はやはり実見して出すもの。ご自分の目で見所なり好みの是非も感じて欲しいと思います。

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