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太刀・刀

常陸守宗重 以南蠻鐡作之

商品番号 : B-091-242

江戸前期 摂津 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:70.9 cm 反:1.5 cm 元幅:3.23 cm 先幅:2.20 cm 重ね:0.80 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は化粧に筋違。
地肌
板目肌に杢目交じり、良く詰んで総体にやや肌立ち心。刃寄りは柾心に流れる。
刃文
焼幅の広い腰の開いた五の目乱。小沸出来の匂口はやや締り心で、ふっくらとして刃先へ深く馴染む。刃縁は冴えて移がある。
鋩子
直調に入って先が掃掛け気味に、小丸となって返る。
常陸守宗重 以南蠻鐡作之

姿は寛文・延宝頃、反やや浅めで元先に少し差があり、切先はほんの少し延び心の中切先。ほぼ定寸で、元重といい切先の松葉角も残り、江戸前期の作にしてはかなりの健全度。刃には小肉もついて良い状態です。地肌の鍛は板目に杢目が交じり、総体に肌立った感じがします。これはおそらく、この刃文(腰の開いた五の目)を焼き上げるための鍛え肌だと思われます。とはいえ新刀の特徴も出ていて、刃寄りと棟寄りは柾心に流れています。そのせいいか、匂口の刃先側は肌目に沿って砂流風のほつれを伴い、板目・杢目主体の平地と好対照の風景が広がります。そして匂口は深く、谷から刃先に向かってグラデーションのように馴染みます。この様はやはり、刻銘にある南蛮鉄を使っているからでしょうか。助広にしても康継にしても深い沸になるのは南蛮鉄を使っているからとよく聞きますが、確かにこの時期の作は深い匂口の刀が多い気がします。まあ、良質の南蛮鉄を使えるのは、それなりに高名な刀工に限られるとは思いますが・・・その門人はどうなんでしょう?(素朴な疑問)

本刀の作者は常陸守宗重。助広の門人として知られています。なので、南蛮鉄の作が多いのもうなづけます。その鍛え肌に焼いたのは腰の開いた五の目乱。この五の目、末備前のそれに似ているように思えるのですが、皆さんはどう感じられますか。末備前の五の目のように焼頭の下に沸崩が顕著に出ているわけではありませんが、それらしい所作が焼頭の下に総体に現れています。加えて移が元から先まで明瞭に出ているのです。勝手な想像ですが、永正頃の末備前の写を試みたのではないかと思ってしまいます。寛文新刀の姿に永正備前の刃文を新刀特伝風に焼き上げた・・・少ない沸崩、深い沸、明瞭な移、柾目心の刃寄り・・・どうです、辻褄が合いませんか(真っ向否定は暗に受け止めます)。
ところで、この宗重は初代なのか二代なのか? 刀姿と銘振は初代だと推測していますが、如何せん、巷での紹介は初・二代にほとんど触れていません。やっぱり助広の門人として紹介する方が受けが良いのでしょうか。そういう本刀も代別に絶対の自信はありません。なので、本刀の出来と好みでご判断していただければ幸いです。

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