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太刀・刀

一関士宗明 慶応二年二月日

商品番号 : B-102-226

江戸後期・幕末 陸奥 特別保存刀剣 白鞘(福永酔剣鞘書)・拵付

売約済

刃長:74.3 cm 反:2.0 cm 元幅:3.12 cm 先幅:2.17 cm 重ね:0.81 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は化粧に筋違。
地肌
小板目よく詰み整って極めて精美な肌となる。鎬地は細かく詰んだ柾目。
刃文
焼幅頃合いの中直刃。匂口は小沸本位でふっくらとし、刃寄りは綿毛のごとくほつれ気味に馴染み、刃中に小沸が微塵につく。
鋩子
直調に入り、表はほつれ気味になり先は尖る。裏は少し弯れて小丸となり、やや浅く返る。
一関士宗明 慶応二年二月日

宗明(久保田宗明)は固山宗次の門人。なので、本刀の姿は宗次に似ています。でも、何となく宗次と同門(加藤綱英門)である長運斎綱俊の刀姿に近い感じがします。(どっちも同じですって・・・そうかもしれませんが、私見ですから無視してください。) 宗次にしろ綱俊にしても、一概には言えませんが幕末によくある大切先の姿ではなく、室町末期や寛永頃の刀姿が多い気がします。本刀もそうした刀姿をした長寸の一振で、その宗次譲りの技術を遺憾なく披露してみせています。
地肌は小板目を整然と細かく詰み、澄んで精美な肌合いがきれいです。その見事な地肌に、小沸出来の中直刃を破綻なく焼き上げています。刃寄りは綿毛のように柔らかな小沸になり、うっすらと刃に馴染んでふっくらとした匂口。刀姿と相まってやさしい印象を受けます。いい出来です。宗次の門人ですから丁子の作が得意なのかと思いきや、直刃もまた上出来。余談ですが本刀には福永酔剣氏の鞘書があり、そこに「直刃を以て最上となし・・・業物たるや論を俟たず」とあり、本刀の直刃を褒め称えています。鞘書に対してはかなり慎重であまり書かなかった酔剣氏が、本刀に対してのこの評・・・うーん、大先輩の虎の威を借りるではないですが、褒めるだけある出来映えは確かです。

申し分ない上の出来に加え、中心の状態もまた素晴らしく、新々刀らしい極めて理想的な錆のつき方をしています。そして丁寧な鑢目と銘、こうでなくてはいけません。健全なる新々刀の見本のような一振です。
奥州一関の刀工である宗明は宗次の門人として多少は知っている方もおられるとは思いますが、万人が知るほど高名ではありません(たぶん、宗明の郷里である岩手の愛好家の方なら当然知っておられるとは思いますが)。しかし、師・宗次に迫る、いえ、師に勝るとも劣らない技量の持ち主のようで、本刀がそれを表しているとも言えます。

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