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太刀・刀

元禄十一年二月吉日 賀州石川郡上安江住家平

商品番号 : B-105-264

江戸中期 加賀 特別保存刀剣 白鞘・拵付

売約済

刃長:76.5 cm 反:2.8 cm 重ね:0.77 cm 元幅:3.40 cm 先幅:2.25 cm 重さ:916 g 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は化粧に大筋違。
地肌
小板目肌良く詰んで無地風となり精美な肌を見せる。鎬地、刃寄りは柾心に流れる。
刃文
焼幅の広い匂出来の中直刃。匂口はやや締まり心で、小足が綿毛のごとく刃寄りへと馴染み、刃縁が冴える。
鋩子
直調に入って小丸となり、やや深く返る。
元禄十一年二月吉日 賀州石川郡上安江住家平

反が深く優美な曲線を描く刀身、元禄頃の姿ままに元先の差はあまりないように思えます。実際には元幅に対して先幅が約3分の2。刃長が長い分、その差はあまり感じられません。反もやや先反気味で古風な風合いながら、身幅の広い健全な姿は、しなやかなと強靭さを併せ持ったような魅力があります。
刃文は元から先まで同じ焼幅の調子で延びる中直刃。刃縁も冴えて乱れた個所はありません。シャキッとしています。逆に刃寄りは綿毛のような小足が広がり、思った以上に密な働きを見せています。匂崩(葉)もちらほら、しかし叢沸は皆無、上出来です。破綻のない締まり気味の匂口を際立たせているのは、これまた精美な地肌。本刀を、加州物ですか・・・なとど無下にみたら、反対に本作に見下されます。よく詰んだ小板目は均一で精美な肌、綺麗です。柾心の鎬地も同様に密に詰まれ、筋の通った匂口をより引き立てているようです。新刀の精美な地肌に古風な匂口、身幅が広く反ある姿・・・家平のオリジナリティを強く感じる一振です。

本刀の作者・家平は、加賀前田家に仕えた加州家平の二代。後に国平と改名します。銘にある石川郡上安江は、現在の金沢駅すぐ近く。その銘ですが、本作は太刀銘に刻られています。注文主の要望なのか、奉納刀(直刃なので)なのか判りませんが、やや先反気味のこの反具合、最初から太刀として作った可能性は否定できません。でも、元禄頃の刀姿は反が深いはずですから、一概にには言えませんね。そして銘が刻られた中心の状態、これを褒めないわけにはいきません。うっすらと鈍く光る地鉄がまだ残り、いい錆状態です。新々刀と見紛うような風合いで、上も下も健全度は申し分ありません。
拵は黒呂塗の打刀拵、濃焦茶色の一貫巻の柄前で目貫はありません。縁頭は鉄地で雲龍の高彫、荒々しくも濃厚な彫口で迫力があります。ちなみに、この縁頭は在銘で江州彦根住藻柄子宗典製と刻られていますが、真偽の極は自信がありません。鐔は無銘で木瓜形の鉄磨地、おそらく赤銅で肉彫した砂潜龍を鑞付据紋にしています。その紋に金と素銅の色絵を施しています。

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