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太刀・刀

大阪住川野水竜子源貞重作之 昭和庚戌年二月吉日

商品番号 : B-106-277

現代 大阪 拵付

売約済

刃長:76.6 cm 反:2.00 cm 重ね:0.72 cm 元幅:3.32 cm 先幅:2.42 cm 重さ:673 g 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は化粧に筋違。
地肌
少し板目が交じる小板目肌を良く詰んで精美な肌となる。鎬地は柾目。
刃文
焼幅広く匂出来の五の目丁子乱。匂口は少し締まり心にふっくらとし、尖刃が交じる。刃縁は冴え金筋・砂流風の所作が出る。
鋩子
直調に入って小丸となり、やや深く返る。
大阪住川野水竜子源貞重作之 昭和庚戌年二月吉日

本刀の作者・川野貞重は月山貞勝の門人。人間国宝の月山貞一とは兄弟弟子の間柄です。応需榎木晧一氏と裏年紀にあるように為打の一振。その銘が刻られた中心の鑢目の見事なこと。化粧に筋違の鑢目は寸部狂いなく刻り上げ、精美な中心に仕立て上げています。中心の鎬筋はピシッと通り、いやー上手です。こーでなくてはいけません。(これは現代刀に限らず刀共通の不文律。中心の鎬筋がヨレヨレの刀を見かけたら要注意、弄られている可能性は極めて高くなります。)
中心は抜群の出来、では刀身を見ていくと・・・姿は身幅広めで元先に差がなく中切先、やや反が深いのですが、鎌倉期の太刀姿に似ているわけでもなく、じゃー南北朝期の姿かというとそうでもなさそう。強いて例えるなら江戸期の寛永頃か後期(幕末前)の姿に近いような気がします。鋩子も古刀のように刃文がそのまま乱れ込まず、直調に入って丸く返っています。作為的にはどちらかの時期の写でしょうか。姿を無視すれば、刃文は足の長い五の目丁子乱ですから現代刀工がよくやる清麿写かと思いきや、特徴とも言える砂流金筋は出ているとは言えかなり大人し目で決定だとはなりません。焼そのものに高低差があり、その乱具合から肥前の足長丁子にも行けず袋小路に・・・

そういえば、月山の門人なら地肌は綾杉風なのかとおもえば、これまた小板目肌。もちろん、月山=綾杉と決めつけるのは勘違いで、板目もあれば無地風もあります。こうなれば強引に、新刀もしくは新々刀の姿に備前伝の丁子を焼いたと、かなり曖昧な妄想を導き出すも月山の門人というのが一様に引っかかります。こういう時は、脈絡のない先入観は全部捨ててしまえば良いわけで、単に為打なので注文主の要望に応えたとすれば一件落着?ということで。で、肝心の出来はというと、いい出来だと思います。切先下あたりが少し荒沸になっていますが、総体に激しい丁子乱を見事にコントロールしています。
拵の鞘は黒石目地に三本帯が一組になった黒呂塗が規則的に繰り返し小洒落ています。縁は赤銅七子地の無紋で頭は角製、目貫は山銅地容彫で藻貝図。鐔はちょっと厚めの鉄磨地で角耳(わずかに小肉)、紋はおそらく斧図の地透です。総体にそれほど時代はありませんが、鞘はかなりの丁寧作。

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