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太刀・刀

相模国住人源久義 慶應二丙寅年八月日 豊後国住人朝山一行帯之

商品番号 : B-113-274

江戸後期 相模 特別保存刀剣 白鞘

2,000,000円

刃長:69.7 cm 反:1.52 cm 重ね:0.72 cm 元幅:3.18 cm 先幅:2.50 cm 重さ:838 g 目釘孔:1つ

体配
本造、三つ棟、生中心、鑢目は化粧に筋違。
地肌
柾目肌に少し板目と杢目が交じり、良く詰んで精美な肌合いになり地景が現れる。鎬地は密に詰んだ柾目になる。
刃文
焼幅頃合いで、直調の小乱に肌めに沿ったほつれ気味の小五の目風の足が入る。匂口は沸本位でふっくらと深く、砂流が所作する。
鋩子
横手より激しく掃き掛けて焼詰風となり、浅く返る。
相模国住人源久義 慶應二丙寅年八月日 豊後国住人朝山一行帯之

相州伝を得意とした義久が細川正義の門に入り、その技を磨いたのはよく知られた話。その義久が相州伝の上工・越中則重に私淑したとよく云われますが、本当なのでしょうか。相州の新藤五国光または行光ではなく越中刀工の則重です。う〜ん、やはり肌物といわれる則重の独特の鍛肌(松皮肌などと称されている)に惹かれたのでしょうか。確かに、本刀を見ればその話もまんざらではなさそうな気がしてきます。
その地肌は見事に詰んだ柾目肌。総柾目と思わせる整備な肌合いに眼が勝手に柾目の筋を追いかけます。縦の方向は、元から上に行くに従ってわずかに柾目の間隔が広くなっている気味があります。横方向は、鎬地のかなり密な感じから平地の流れるような細筋が並び、刃縁から刃先にかけて太く際立った柾目筋があらわに・・・。刃縁の小沸が絡んだ領域は印象的で、緩い波状にぶれながら上流へと流れていきます。その途中途中に板目と杢目が交じって独特の肌模様を形作っているのです。これですか、則重に倣った地肌とは?・・・則重がどんな地肌をしているのかは、古刀にめっぽう弱い当店は文献でしか知り得ませんが、この地肌がそうなら久義の傾倒ぶりに共感を覚えます。惹かれますねー、こういう地肌。(無地風の小糠肌がお好きな方は、恐縮ですが少し目を瞑ってください。)

その地肌に焼かれた刃文は、直調の小乱・・・だけと思いきや、結構激しい匂口が展開します。灯りにかざすと深くふっくらとした小五の目の足が刃先へと延びる様が浮かび上がるのです。五の目の間隔は結構密で、太い足も手伝ってたなびく雲のよう。小沸が絡んだ刃縁の匂口は肌目に沿ってほつれ、砂流の筋を伴いながら川筋のように流れていきます。その切先の鋩子も独特で、横手から柾目肌に沿って太目の筋が激しく掃き掛けます。棟筋先の一点に集中するかのように流れて、そのまま焼き詰風の鋩子に・・・地肌の柾目と匂口の小沸が鬩ぎ合う刃縁の光景が本刀の全てを表している気がします。柾目に五の目、ある意味、相反する所作が同居しているかのような本刀、静寂の中の騒乱といえば言い過ぎですが、この所作、皆さんの目にはどう映るのでしょうか。
姿は元先に差がなく適度な反がつき延び心の中切先、端正な好まれる姿をしています。因みに、弟子である左行秀も相州伝をやるそうですが、やはりこのような肌合なのでしょうか。砂流などの所作があるのは理解できますが、この手の肌物の作があるのか興味があります。

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