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太刀・刀

筑前住源信国吉次

商品番号 : B-114-282

江戸初期 筑前 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:70.7 cm 反:1.00 cm 重ね:0.82 cm 元幅:3.36 cm 先幅:2.05 cm 重さ:750 g 目釘孔:2つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は切。
地肌
板目肌に杢目交じり、よく詰んで綺麗な肌合いになる。地はやや肌立ち心に板目が柾心に流れる。
刃文
焼幅頃合いで、匂出来の中直刃調に僅かに小乱が交じる。匂口はやや締り心にふっくらとし、喰違刃風の所作があり、ごく小さな尖刃の交じる個所がある。
鋩子
直刃がそのまま入り小丸となって、返は崩れ気味にやや深く返る。
筑前住源信国吉次

密によく詰んで繊細な板目模様が平地に拡がります。細かな地景風の肌目は小板目とはちょっと違うようなそんな肌に、所々杢目が交じって滑らかなシルクのような風合いを醸し出している地肌です。ところが鎬地へ目を移すと様相が一変します。やや肌立った目が光沢のある鎬地にウネウネと流れ心に拡がっているのです。この様をチリチリした肌というのでしょうか、決して鍛肌が粗いわけでもなさそうです。相反するこの質感、普通は反対のような気もするのですが・・・さらに本刀は新刀ですから、鎬地は柾目になるのが一般的ですが、流れ心とはいえ板目模様そのままに現れています。まるで古刀のような肌合いを見てるようです。
しかし、姿は寛文新刀を絵に描いたような刀姿・・・反少なく元先に差があり中切先、典型的な寛文新刀の姿をしており、体配も重が厚く長さもほぼ定寸で豪壮と言える一振で、一見、親国貞かと思えるような刀ですが、直刃とはいえ匂口はちょっと異なります。中直刃調の刃文は、途中で小刻みに乱れる個所があり、特に物打あたりは小乱風の所作が・・・よく見ると喰違刃風の所作と尖刃のような所作が交じっているのがわかり、指裏側の喰違刃ははっきりと認識できます。この所作は本場物(江戸期では肥前刀)ではないということを暗示しているわけで、やはりというか本刀は筑前信国一派の作です。すぐ隣は肥前刀の一大生産地、作刀の技術とノウハウはそう簡単に拡散しないものなのですね。その反面、信国一派の特徴なりが継承され、現今に見せてくれることを嬉しくもあります。

姿も造込もそして出来も、信国一派の特徴を寛文新刀にすればこうなります、と明確に教えてくれる一振、それが本刀てなわけです。正直、好きですね、どこか一癖ありそうな刀って(癖のある刀が好きな方は意外に多いと思うのですが、皆さんはいかがですか?)。
信国一派といえば吉政が有名ですが、吉次はその弟。兄の吉政は備前伝に傾倒して廃嫡となったため、当の吉次が信国家を継いだわけで、吉次もまた技量と名声を得た刀工なのです。本刀を見ればそれは一目瞭然で、随所に信国らしい所作が出ているではありませんか。加えて健全度もかなり良い状態。元重はもちろん、切先の松葉角もまだ認識できる程度に残っています。古風な肌を見せながらも姿は新刀、いかにも地方刀工ですよというのをあからさまに主張する一振、これはこれで価値の見いだせる刀だと思います。

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