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太刀・刀

備中守橘康廣

商品番号 : B-SD121

江戸前期 摂津 特別保存刀剣 白鞘入・拵付

売約済

刃長:63.5 cm 反り:0.90 cm 重ね:0.73 cm 目釘穴:1

体配
本造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は化粧に筋違。
地肌
小板目肌詰んで杢目となる。鎬地は柾心に流れる。
刃文
やや焼幅広く匂本位の中直刃。
鋩子
表裏揃って小丸。返はやや深い。
備中守橘康廣 拡大写真

寛文頃の刀姿そのままに、身幅細目で反はやや浅目、元先に差がある中切先の本作。初代・橘康廣のスマートな一振。詰んだ地肌といい、そこへ柔らかな中直刃がすーっと伸びて上品です。重ねもバランスをとってかやや薄めで、総体にやさしい印象を与える一振に仕上がっています。
康廣といえば紀州から移住した大坂石堂の代名詞的存在・・・当然、備前伝の丁子乱かと思いきや、本刀は直刃です。言わすと知れた備前伝の大御所が直刃を焼いた? いや、注文されたといった方が正解でしょう。なにせ上記のようなスマートな体配は、最初から直刃を焼く前提で鍛えた事は明らかです。仮にも備前の直刃の写を本人の意志でやるなら、身幅はもっと広く重ねも厚くした筈であり、本刀とはまた違った作を作っていたと思われるのです。注文主の意向が如実に繁栄された本刀は、康廣の中でも極めて珍しい一振でしょう。
それともう一点、気になる個所があります。中心の指裏側、錆際と目釘孔の間が何やら不自然な感じがするのです。鑢目がやや薄く鎬地側には少し凹凸も・・・そういえば康廣は「備中守」の受領後に菊紋を刻るようになったと言われています。本作のこの跡は、もしや菊紋を削った痕?・・・斜目からよくみると、何やら円形のような陰影が・・・気のせいでしょうか。色々調べてみたら、戦後の刀狩や進駐軍対策で菊紋を取り去ったと解説しているケースがあるようです。もしそれが真実なら残念ですが、遺棄されるのを免れたのかもしれず、あえて問う必要はないのかもしれません。どのみち、様々な経緯を歩んできた本作、それも踏まえて楽しめる一振です。

拵 拡大写真

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