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脇指
陸奥大掾三善長道
商品番号 :C-025-147
江戸前期 会津 白鞘
550,000円
刃長:53.6 cm 反り:1.2 cm 重ね:0.71 cm
- 体配
- 本造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は切。
- 地肌
- 小板目肌を良く詰んで精美な肌となり地景が現れる。棟寄りと物打辺りから上は柾心に流れる。
- 刃文
- 小沸出来の五の目乱に丁子。匂口ふっくらと深く沸よくつき、所々金筋風に小沸がつき、刃縁が冴える。
- 鋩子
- 直状に入って中丸になり、返は深い。
- 備考
- あまり高低差のない五の目乱に見える刃文ですが、光にかざすと本刀の見所である丁子の足が浮かび上がります。少し長めで深く所作する柔らかな丁子の足が、ふっくらとした沸づいた五の目の谷からスーッと伸びています。一つも欠けることなく谷という谷から、赴くままに出ている光景が元から先まで広がります。表裏共に何箇所か金筋の所作が表れていますが、ほんのオマケといった感じに思えるくらい丁子の足が主役であり、長道本人もそのように作ったのでしょう。物打辺りから上の肌は、少し流れて柾心になるのですが、その影響を感じさせない丁子の働きに感心させられます。以前に紹介した長道の作でも触れましたが、会津虎徹と称された評はダテではないことが本刀を見ても納得させられます。刃文もそうですが地肌の鍛も負けてなく、良く詰まれた小板目が少し流れる様が精美で刃縁が冴え渡り、それが背景となって匂口の足を引き立てているようにみえ、地肌と匂口、両者がそれぞれの良さを補っているのが本刀の魅力となっています。
ただ、本刀には欠点ではありませんが残念なことが一つ・・・中心に朽ちた痕跡があります。これは錆痕で指裏側の方が少し範囲が広いようですが、指表側は銘の最後辺りが見えづらくなっている程度です。錆の状態は現状では安定していますので、それほど心配はいりません。もちろん、刀身の鑑賞にはなんの問題もありませんが、匂口が見事な景色だけに少し残念です・・・本刀を責めるのは筋違いです。責めるべきは本刀を放ったらかして手入れを怠った私たち人間です・・・ちょっとカッコつけて言ってしまいました。
おっと、言い忘れたことが。本刀は無鑑です。刀身はもちろん特保級ですが、審査機関が中心の状態をどう評価するのは当店には計りきれません。無銘や大磨上でもでも刀工を極めてくれたり、重要刀剣にも指定してくれるのですから、中心の状態を理由に本刀を卑下にするようなことはないと思います(あくまで希望的感想なので、その点はご了解を)。
