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脇指

脇指

伯耆国住廣賀作 永禄八年八月吉日

商品番号 :C-028-S-151

室町後期 伯耆 白鞘

売約済

刃長:33.7 cm 反り:0.5 cm 重ね:0.75 cm

体配
平造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は勝手下り。表裏に棒樋を掻通、中心に添樋を刻る。
地肌
板目に杢目交じり、肌立ち気味に地景明瞭に出て移があらわれる。
刃文
焼幅やや広く匂出来、鎺元は浅い五の目、中程は直長になって物打から上はまた浅い五の目になる。匂口は深くフックラと、広めの足が入り、表裏共に切先あたりに飛焼がある。
鋩子
五の目が乱れ込んで、先が尖気味にやや深く返る。
備考
長さは一尺一寸ちょっと、寸延び短刀と言えなくもない本脇指。平造にしては身幅がやや狭く、棒樋の見え方も影響してか、一見、鎬造かと勘違いします。その棒樋は切先よりかなり下がった位置から彫られていて、疵隠しの後樋かと思い中心見れば、なんと掻通・・・銘も樋を避けて刻ってあるということは、生樋。最初から樋ありきで鍛えているのですからバランスの良い姿をしているわけです。
肝心の刀身ですが、これまた見所満載です。まずは地肌。杢目交じりの板目が肌立ちながら明瞭に表れ、肌物好きを十分に満足させる出来。その肌目に沿って金筋・稲妻風の地景が表裏に広く展開します。この光景、いいですね。(密に詰んだ小糠肌がお好きな方には目障りな所作かもしれません。) 刃文は刃縁が冴えた緩い五の目から直調になって、また緩い五の目に戻り、そのまま鋩子へとなだれ込みます。匂出来の匂口は深く柔らかく所作し、谷から短めの足がふんわりと広がります。表裏の刃文は揃わず自然な流れの描写も相俟ってか、古風な印象を受けます。末古刀ですから当然といえば当然なのですが、地肌といい刃文といい総体に古刀を地で行く姿が魅力的です。そして何より荒沸やムラもないところが評価でき、極めて出来の良い逸品です。
廣賀は相州綱広門といわれていますが、本脇差からは相州伝の匂いは感じられず、敢えてあげるなら横手あたりにある小さな飛焼でしょうか。相州系だからといって門人がみな相州伝をやると思っていること自体が間違いであって、本脇指を目の前にして、これは相州伝ですねとは言えないでしょう。いやいや例外の作ですよ、ということであれば本脇指は珍しい作となり、却って貴重で価値が上がるということになります。

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