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脇指 “うもれし”一振

脇指

實有 □□年二月日

商品番号 :C-032-179

江戸前期 備前 保存刀剣 白鞘

300,000円

刃長:40.8 cm 反り:0.9 cm 重ね:0.76 cm

体配
長巻直造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は切。表裏に棒樋と腰樋を鎺元で丸留。
地肌
板目に小板目交じり、棟寄りは柾目になり、総体として精美な肌となり刃寄りに地景がでて、淡く移が現れる。
刃文
焼き幅狭く、匂本位の中直刃に小乱交じり。ほつれ気味の小足が盛んに働く。匂口はふっくらと深く刃縁が冴え、喰違刄風の所作が出る。
鋩子
直調に入り掃きかけて小丸になり、やや深く返る。
備考
身幅は広め、長巻直造の小脇指。反も適度について良い姿をしています。焼幅は狭く、直調子の小乱に小足が盛んに出て、古風な風合いを出しています。このほつれ気味の小乱と喰違刄風の所作が見所であり、姿にとてもマッチしているようです。(勝手ながら、個人的に好みです。)見所がもう一つ、地肌が少し面白い特徴を見せています。身幅のほぼ真ん中より棟側(鎬地と棟寄り)は小板目から柾目になっているのですが、刃寄り側、特に刃縁周辺は流れ心の板目(どちらかといえば大板目)ががハッキリと現れ、地景となって景色を作っています。つまり、ちょうど板目がくっきりと現れている領域の上を匂口が走っているのです。意外に見ない面白い所作です。加えて、そこから刃先に向かって小足が出ている・・・タテの所作である流れ心の板目にヨコの所作である小足が交じる・・・相反する所作を同居させているのですから刀工を褒めるべきでしょう。匂口がほつれ気味なのはこれで納得です。ちなみに指裏の物打に一つだけある山(五の目)は、遊びでしょうか。極めて意図的な感じがしますが、山の底を真っ直ぐに匂口が続いており、五の目が池のような塊の匂口になっているようです(それとも小沸の塊でしょうか)。もしかして、意図せず現れた所作?それとも術なのか判断しかねるところです。もう一つ、年期が消えている(消された)理由ですが、約1cmほど区送した際に鎺の内寸を合わせるため・・・鎬が高く棟を狭くした長巻直造のため、研溜から下を削ったためと考えられます。
破綻しやすいこうした刃文をムラなく焼き上げているからには、それなりの刀工かと思いきや、本脇指の作者・實有(さねあり?)は銘鑑洩の刀工。板目が流れて畝るような地肌・・・どっかで見たような・・・豊後に似たような鍛を見たことがありますが、「實」がついた刀工というと高田の実行あたりの一門かもしれません。しかし、果たして豊後刀とは極めきれない当店の弱さ(全く自信がありません)。實有についてどなたかご存知の方、ご教授いただければ幸いです。

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