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脇指

脇指

備前国住長舩宗左衛門尉祐定 明暦二二年二松是次良兵衛所為釼

商品番号 :C-034-183

江戸前期 備前 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:56.1 cm 反り:1.9 cm 重ね:0.80 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は切。
地肌
小板目肌よく詰み、刃寄りは柾心。鎬地・棟寄りは流れて柾目になり、移が鮮明に現れる。
刃文
鎺元上5寸あたりまでは沸出来の五の目の小乱、その上から先は腰の開いた五の目乱。匂口は締まり心、刃中に沸がこぼれ、葉、足、飛焼が激しく所作する。
鋩子
乱ぎみに入り沸づいて小丸となり深く返る。
備考
もし本脇指が鑑定刀に出されたら、皆さんはきっと迷うでしょうね。パッと一見しただけでは末備前の祐定に入れてしまいます。焼き始めの小乱があるにせよ、その上から展開する典型的な腰の開いた五の目乱に惑わされます。鋩子も乱れています。移も出ていて、永正頃の備前に絞り込むのが順当です。気になる点といえば鎬地棟寄りが柾目だということぐらい。姿も古風な腰反り。中心を開ければ末備前特有の短くずんぐりした形状・・・紛れもない片手打ちの姿がそこにあります。でも、本脇指は新刀の祐定。明暦四年の宗左衛門尉祐定です。銘を見るまで分からないほどの似ようです。いくら似ていると言っても、本脇指の場合、写物とは言わないのでしょうね。なにせ家伝の刃を焼いているのですから、本歌といっても良いくらいです。兄である七兵衛尉祐定やその子・上野大掾祐定には焼出が多く見られますが、本脇指に限ってはそれがなく家伝そのままに作られたようです。敢えて言うなら天正・文禄まで続く末備前をそのまま継承した姿が本脇指なのでしょう。
そんな本脇指の匂口は、言わずと知れた腰の開いた五の目乱ですが、これが思った以上に激しい所作を見せています。沸崩れや葉・足が刃中の至る所にこぼれ、刃縁の上にも飛焼風となって出ています。一部棟焼も見られ、沸出来ということもあり相州備前の風合いを見せています。良く言えば激しく見所の多い一振、悪く言えば叢のある出来ということに・・・それはそれとして、これは歴然とした注文打です。指裏に二松是次良兵衛所為釼と所持名が刻られています。自身の銘も俗銘入りです。
まとめれば新刀期における末古刀、江戸期の末備前、本歌における写物・・・なんとも紛らわしいけど珍しい・・・そんな一振といったところですね。

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