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脇指 “うもれし”一振

脇指

豫州松山住藤原宗貞

商品番号 :C-035-186

江戸中期 伊予 保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:59.2 cm 反り:1.3 cm 重ね:0.74 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は化粧に筋違。表裏に棒樋を鎺元上で丸留。
地肌
板目肌が総じて肌立ち、所々木目が交じる。刃寄り、鎬地・棟寄りは流れて柾目になる。
刃文
匂出来の中直刃、刃寄りがほつれ気味に小足が入る。匂口はふっくらとし、刃中は微塵に沸づく。物打辺りの所々に棟焼きがある。
鋩子
直状に入り掃掛けて小丸となり浅く返る。
備考
元先にあまり差はなく反も少し、切先は短めですが姿だけを見れば末古刀にも映る体配です。おまけに長さが2尺弱(59.2cm)・・・片手打ち風の姿と言いたいところ。でも、腰反かと問われればそうでもなく、どちらかといえば先反気味・・・やはり、時代の姿は正直です。本刀は江戸中期・元禄頃の作でしょうか、身幅は広めで重も厚め、一見、刀かなと思える体配ですが脇指です。いわゆる大脇差ですね。江戸初期以前なら刀も脇指も寸法による大小の区別などありませんでしたからよいのですが、江戸中期となるとこの長さは微妙なところ。大脇指として作ったのか、それとも刀として作ったのか・・・いずれにせよ、2尺弱という長さからは注文打と考えた方が自然です。刀の定寸が浸透した頃に、理由もなく規格外の刀は作りません。 肝心の出来ですが、ふっくらとした中直刃に小足が所作し、刃縁に沸崩れやムラもなく上手です。この小足の所作は、来あたりを倣った写かもしれません。ん〜、地鉄の鍛えは板目、大板目と言ってもよく、そして肌立っているあたりは・・・まさか、地鉄も来肌を真似て鍛えたのでしょうか。本来、俗に来肌と言われる肌立った所作は、単に減りによるヤツレなんですが、そこまで写したのでしょうか。しかしご安心ください。本脇指の地肌はヤツレや減りによるものではなく健全です。少し残念なのは、棟の所々に鍛割れが出ている事です。表裏の姿を鑑賞するにはわかりませんが、重を見るように上から棟を覗くと鍛割れが確認できます。気になる方は、ご自分の目で確かめて状態をご判断ください。
作者の宗貞は伊予松山の刀工で、金重(正宗十哲の一人)の末流といわれているそうです。(正宗が存在したかどうかも含め、当店は無言・・・)面白いのは道後温泉に住んでいたということで「予州温泉住・・・」などの在銘もあるそうで、何とも人情味のある銘を刻る刀工です。やっぱり、刀を鍛えた後は道後温泉につかって体を休めたのでしょうね。

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